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「RSウイルス」のワクチン接種をご存知ですか? 重症化すると肺炎などに 高齢者や妊婦などのハイリスク者を優先

 RSウイルスは、肺および呼吸器に影響をおよぼす、どこにでもいる一般的な感染性ウイルス。

 成人もRSウイルスに感染することがあり、とくに高齢者や慢性の基礎疾患のある人、免疫機能が低下している人は、重症化リスクが高い。

 日本でも、60歳以上の人と妊婦を対象とした、RSウイルス感染症の予防ワクチンの接種が開始される。

 しかし、「RSウイルスは大人にも感染する」と認知している人が少ないという現状が報告されている。

小児だけでなく成人も感染し重症化することがある

 RSウイルスは、肺および呼吸器に影響をおよぼす、どこにでもいる一般的な感染性ウイルス。小児では2歳までにほぼ100%が少なくとも1度は感染するとされている。

 症状は、発熱・鼻汁・せきなどの軽い風邪と同じ症状から重い肺炎までさまざまだ。成人もRSウイルスに感染することがあり、とくに高齢者や慢性の基礎疾患(喘息、COPD、心疾患など)のある人、免疫機能が低下している人は、重症化リスクが高い。

 RSウイルスに感染して発症すると、ほとんどの場合は数日から1週間くらいかけて回復する。しかし重症化すると、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があり、また喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心疾患などの基礎疾患の増悪の原因になることもある。

 RSウイルス感染症は、秋から冬にかけて流行することが多かったが、2021年以降は春から初夏に増加がみられ、夏にも感染者が増えるようになった。

RSウイルス感染症は、例年冬期に流行がみられていたが、近年は7月頃から報告数が増加している

東京都健康安全研究センター、2023年

RSウイルスの60歳以上・妊婦向けのワクチンを了承

 RSウイルスは、6ヵ月未満の赤ちゃんがかかると肺炎を起こし、重症化することもある。そこで厚生労働省の専門家部会は昨年11月に、妊婦向けのワクチンの使用を了承した。

 RSウイルス感染症のワクチンは、60歳以上の対象ではすでに昨年9月に承認されていたが、今後は妊婦向けのワクチンの使用も国内ではじめて行われるようになる。

 妊婦がワクチン接種を受けることで、生まれてきた子供が重い症状になるのを防ぐ効果を期待できる。とくに生後6ヵ月未満の赤ちゃんなどの場合は、肺炎や気管支炎を起こして重症化し、入院が必要となることもある。

 妊婦がこのワクチンを接種すると、抗体が胎盤を通じて赤ちゃんにも届き、生まれてからもRSウイルスへの感染や重症化から守ることができる。

インフルエンザや新型コロナに比べ認知度が低い

 製薬企業のグラクソ・スミスクラインは、RSウイルス感染症と予防の認知について、全国の60歳以上の男女約6,500人を対象に2023年11月に調査を実施した。

 同社によるとRSウイルス感染症は、日本では60歳以上の成人で、約6万3,000人の入院と約4,500人の院内死亡を引き起こしている。

 その結果、「RSウイルス感染症」を認知している人は64%に上る一方で、ある程度以上知っているという人は20%未満で、インフルエンザや新型コロナに比べ、認知度は低いことが示された。

 また、「RSウイルスは大人にも感染する」と認知している人も30%未満と少なかった。高齢者、慢性の基礎疾患(喘息、COPD、心疾患など)のある人、免疫機能が低下している人は、RSウイルス感染症の重症化リスクが高いとしている。

 感染リスクや症状の悪化、入院など日常生活への影響に関する認知度についても調査した結果、「RSウイルス感染症は日常生活に影響を与える」と回答した人は30%と、インフルエンザ(90%)や新型コロナウイルス感染症(92%)に比べ、少ないことが示された。

RS ウイルス感染症が増えています! (東京都健康安全研究センター 2023年6月22日)
RSウイルス感染症 (国立感染症研究所)
RSウイルス感染症Q&A (厚生労働省)
[Terahata]
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