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徒歩や自転車で通勤して肥満・心臓病・がんなどのリスクを軽減 車を使わない「アクティブ通勤」のすすめ

 徒歩や自転車で通勤している人は、肥満・心臓病・がんなどのリスクを高める炎症が軽減されていることが、フィンランドの研究で明らかになった。

 運動をする習慣により炎症のレベルが低下することが、これまでの研究でも示されているが、徒歩や自転車による通勤により同じ効果をえられることが示された。

 徒歩や自転車による通勤を、1日に45分以上行うと、効果を高められるとしている。

 「車を使わず、徒歩や自転車による通勤を促進することで、ポピュレーションレベルで健康増進をはかることができる可能性があります」と、研究者は述べている。

歩いたり自転車を使う「アクティブ通勤」のすすめ

 徒歩や自転車で通勤している人は、肥満・心臓病・がんなどのリスクを高める炎症が軽減されている傾向があることが、フィンランドの研究で明らかになった。

 歩いたり自転車を使う「アクティブ通勤」により、C反応性タンパク質(CRP)と呼ばれる炎症マーカーの値が低下することが示された。

 徒歩や自転車による通勤を、1日に45分以上行うと、効果を高められることも分かった。余暇時間に運動をする習慣や、大気汚染への曝露の影響を取り除いても、この関連は維持された。

 研究は、東フィンランド大学、フィンランド保健福祉研究所、フィンランド産業衛生研究所によるもの。

 「徒歩や自転車による通勤を促進することで、ポピュレーションレベルで健康増進をはかることができる可能性があります」と、同大学公衆衛生臨床研究所のサラ アラウアト氏は述べている。

 「自家用車などを使わずに通勤することは、温室効果ガスである二酸化炭素の排出を減らすことにもつながり、地球環境にとっても良いと考えられます」としている。

体を動かす習慣で炎症と動脈硬化を抑制

 血管が狭くなったり硬くなり、血液の流れが悪くなるのが動脈硬化。この動脈硬化は、「慢性炎症」によって進行が加速することが分かっている。

 慢性炎症は体内でじわじわと持続的に起こり、心血管疾患、2型糖尿病、がんなどの疾患のリスクを上昇させる。

 内臓脂肪が過剰にたまった内臓脂肪型肥満の人で、慢性炎症が起こりやすいことが知られている。内臓にたまった異常な脂肪細胞から、炎症性物質が多く放出され、これが慢性炎症の引き金となる。

 徒歩や自転車で通勤し、体を活発に動かすことを習慣にすると、内臓脂肪や体重が減少し肥満やメタボを改善でき、それが炎症の抑制につながっていると考えられるという。

 動脈硬化の予防で、運動は食生活の改善と並んで重要だ。運動によって中性脂肪を減らし、善玉のHDLコレステロールを増やすことは、動脈硬化の進行を防ぐことにつながる。

地球温暖化の防止にもつながる

 研究グループは今回、フィンランドで実施されているコホート研究である「FINRISK研究」に参加した平均年齢44歳の男女6,208人のデータを解析した。

 その結果、徒歩や自転車による通勤を、毎日15~29分以上行っている人は高感度CRPの値が低下しはじめ、45分以上行っている人では16.8%低下した。

 とくに女性では、そうした炎症に抑制が顕著にみられたという。また、徒歩や自転車による通勤の時間が短いと、炎症の抑制との関連はみられなかった。

 「徒歩や自転車による毎日の通勤により、活発な運動を定期的かつ多量に行うことになり、炎症の軽減につながっている可能性があります。自動車交通による地球温暖化につながる排出ガスも削減できます」と、アラウアト氏は指摘している。

Daily active commuting may lower inflammation levels (東フィンランド大学 2024年1月16日)
Association between active commuting and low-grade inflammation: a population-based cross-sectional study (European Journal of Public Health 2023年12月8日)
[Terahata]
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