ニュース

東京都がヤングケアラー支援のHPを公開 当事者や周囲の人が気付きやすいよう啓発を進める

 東京都はこのほど、ヤングケアラーを支援するための新しいHP「ヤングケアラーのひろば」を公開した。

 日常的に家事や家族の世話など、本来大人が担う役割をこなしているヤングケアラーは周辺の人々が気づいていないだけではなく、本人も自覚していないケースが多い。そのため親しみやすいホームページを開設することで啓発を進め、必要な支援が届くようPRする。
周囲がヤングケアラーの存在に気づく機会は少ない

 ヤングケアラーには、
 ◯障害や病気のある家族の代わりに買い物や料理、掃除や洗濯などをしている
 ◯家族の代わりに幼い兄弟の世話をしている
 ◯障害や病気のある家族の身の回りの世話をしている
 ◯家計を支えるために働いていて、障害や病気のある家族を助けている
 ◯日本語が第一言語でない家族や障害のある家族のために通訳をしている
 ◯アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している
 ◯がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている
 ◯障害や病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている
 といったケースがある。

 さらに「家族の精神的なケア等、感情面のサポートをしている」といった面でも、子どもに大きな負担がかかっている場合はヤングケアラーと言える。

 実際に、国が令和2年度及び3年度に実施した調査では、公立中学2年生の5.7%(約17人に1人)が「世話をしている家族がいる」と回答。1クラス30名で換算すると、各クラスに1~2人のヤングケアラーがいる可能性がある。

 一方、同じ調査で、公立中学2年生と公立全日制高校2年生の90%以上が「ヤングケアラー」という言葉や意味を知らないと回答。一般の人でも半数以上が「聞いたことがない」「聞いたことはあるがよく知らない」と答えており、周囲がヤングケアラーの存在に気づく機会は少ないと言える。

 そのため東京都では、ヤングケアラー支援のためのHPを開設。理解や認知を高めてもらうため、ピクトグラムを用いて視覚的に分かりやすくヤングケアラーの概要を説明したり、YouTubeで3分弱のスペシャルアニメを公開したりしている。スペシャルアニメはヤングケアラー当事者の声をもとに作詞した楽曲を使っているという。

▼ヤングケアラー支援ホームページ「ヤングケアラーのひろば」

 またヤングケアラーの子ども自身が自分の状況に気づきやすいよう、体験談を掲載。そのうえで相談窓口、支援機関向けの情報などを掲載し、支援につながるようにしている。

周囲の支援につながる工夫も

 ヤングケアラーの支援には、関係機関や地域の人々との連携が重要となる。例えばヤングケアラーの家族に障害や疾病がある場合、その家族をサポートしている関係機関が子どもの状況にも目を配ることで気づきになり、HPでは「家族全体を見る視点での支援が期待される」と説明している。

 そのため児童福祉関係機関、教育関係機関、生活福祉関係機関、障害福祉関係機関、保健・医療関係機関、高齢者福祉関係機関にそれぞれ分けて、支援マニュアルを提供。マニュアルではヤングケアラー支援のフローや、ヤングケアラーと思われる子どもに「気づく」ためのチェックリストなどを掲載している。

 東京都では2月にアンケートを実施し、利用者の意見を聞いており、今後さらなる内容の改善に努めていく方針。

ヤングケアラー支援ホームページ「ヤングケアラーのひろば」
ヤングケアラー支援ホームページ「ヤングケアラーのひろば」(正式版)の公開について(東京都/2024年3月25日)
[yoshioka]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2024年04月30日
タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月23日
生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
2024年04月22日
運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
2024年04月22日
職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
2024年04月22日
【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月18日
人口10万人あたりの「常勤保健師の配置状況」最多は島根県 「令和4年度地域保健・健康増進事業の報告」より
2024年04月18日
健康診査の受診者数が回復 前年比で約4,200人増加 「地域保健・健康増進事業の報告」より
2024年04月16日
塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶