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自宅で運動に簡単に取り組めるシステムを開発 オンライン運動指導も効果的に 筋⾁を増やし⾜を強くする効果
2024年04月15日
筑波⼤学は、在宅トレーニングシステム「スクバラ」を開発したと発表した。⾼齢者を対象とした検証では、筋⾁の量を増やし、また⾜の⼒を強くできることが示された。
⾼齢者にレジスタンス運動に幅広く取り組んでもらえるよう、運動プログラムを簡略化し、さらに簡便で正確に運動の指導ができるシステムを組み合わせたシステム。動画視聴により簡単で短時間に運動に取り組める。
自宅で運動に取り組めるシステムを開発
筑波⼤学は、在宅トレーニングシステム「スクバラ」を開発したと発表した。 ⾼齢者にレジスタンス運動に幅広く取り組んでもらえるよう、運動プログラムを簡略化し、さらに簡便で正確に運動の実践管理(遠隔モニタリング)ができるシステムを組み合わせたシステムで、動画視聴により簡単で短時間に運動ができるよう工夫されている。 このシステムの⾼齢者を対象とした検証では、筋⾁の量を増やし、また⾜の⼒を強くできることが示された。 日本では、フレイル(加齢により⼼⾝が⽼い衰えた状態)になる⾼齢者が増えている。フレイルになると、その後の⼈⽣で歩けなくなったり寝たきりになる可能性が上昇し、それにともない医療や介護に関わる費⽤も増える。 フレイル対策では運動が重要だが、⾼齢者を対象とした⾃宅でも簡単に⾏えるトレーニング方法は確⽴されていない。そこで研究グループは、簡単な運動プログラムと、その実施状況を遠隔で管理できるモニタリング機能を備えたトレーニングシステム「スクバラ」を考案した。 同システムでは、レジスタンス運動とバランス運動を組み合わせた、短時間で完遂できる複合型の運動プログラムを動画チャンネルで提供。これに、モニタリングシステムを組み合わせ、管理者がそれぞれの参加者に割り当てた動画の視聴時間を、運動プログラムを実際に⾏った時間としてカウントおよびモニタリングできる。
「スクバラ」によるトレーニングプログラム
出典:筑波⼤学、2024年
高齢者の⾻格筋量を増やし下肢の筋⼒を強くする効果
「スクバラ」は、YouTubeによりそれぞれの参加者に専⽤で割り当てたトレーニング動画を提供し、スマートフォンなどで再⽣しながらトレーニングを実施してもらえる動画視聴⽅式になっている。 管理者は、参加者の視聴記録をトレーニング時間とみなし、専⽤アプリ(YouTube Studio)で即時的に実施状況を確認することができる。 研究グループが、つくば市在住の健常な⾼齢者を対象に効果を検証したところ、全⾝の⾻格筋量を増やし、下肢の筋⼒を強化する可能性が示された。 つくば市在住で⽇常⽣活および歩⾏の⾃⽴している平均年齢69歳の健常⾼齢者15人を対象に、「スクバラ」の効果を検証した結果、実施した介⼊群は、実施しなかった対照群に比べ、⾻格筋量が2%、膝伸展筋⼒が13%、それぞれ有意に向上した。 さらに、総動画再⽣時間から換算した介⼊群の「スクバラ」の平均実施回数は、週平均6.2回と⾼頻度で、脱落者は1⼈も出なかったことが確認された。 動画をそれぞれの参加者に専⽤に割り当てて提供し、スマホなどで再⽣しながらトレーニングをできる。指導者はそれぞれの参加者の視聴記録をトレーニング時間に置き換えて、専⽤アプリですぐに確認できる。
動画をそれぞれの参加者に専⽤に割り当てて提供し、スマホなどで再⽣しながらトレーニングをできる
指導者はそれぞれの参加者の視聴記録をトレーニング時間に置き換えて、専⽤アプリですぐに確認できる
指導者はそれぞれの参加者の視聴記録をトレーニング時間に置き換えて、専⽤アプリですぐに確認できる
出典:筑波⼤学、2024年
高齢者のレジスタンス運動を支援 指導・管理も簡便に
フレイルは、要介護状態や死亡などの予後リスクは⾼いものの、機能改善が⾒込める状態だ。またフレイルの中⼼的な要素であるサルコペニア(加齢にともなう筋⼒の低下)は、⾝体能⼒の低下や死亡といった負の健康アウトカムと関連している。 ⾼齢者の⾃⽴と⽣活の質を維持し、経済的な負担を増やさないようにするためには、フレイルあるいはサルコペニアを予防することが求められる。 ⾼齢者の⾻格筋量を増やし、筋⼒を高めるために、もっとも効果的な⽅法はレジスタンス運動だ。とくに筋⼒増強には、最⼤挙上重量の80%程度の⾼負荷で⾏うレジスタンス運動が効果的であるとされている。 しかし、こうした⾼負荷レジスタンス運動は、専⾨トレーニングジムなどでの個別指導が必要であり、居住地域などによっては、継続して⾏うことが困難という課題がある。 ⼀⽅、⾼齢者が⾃宅で⾏うレジスタンス運動の既存のプログラムは、プログラムの実施に時間がかかること(導⼊に2時間程度の⼿順説明と、毎回の完遂に30分間程度)、さらには⽇々のトレーニングの実践管理のための記録の煩雑さや正確性の担保といった課題があった。 そこで研究グループは、⾼齢者が⾃宅で⾏えるように⼯夫した運動プログラムを構築するとともに、脱落しないように常にモニタリングできるシステムを考案した。⾼齢者を対象とした体系的なフレイル予防システムを目指す
研究は、筑波⼤学医学医療系の國府⽥正雄准教授らによるもの。研究成果は、「Geriatrics」に掲載された。 「このシステムを発展、普及させることで、⾼齢者を対象とした体系的なフレイル予防システムの構築に貢献できると期待されます」と、研究者は述べている。 今後は同様の検証を、フレイル予備群である要⽀援者を対象に⾏い、今回の結果と同等の結果が得られるかどうか、また⽇常⽣活活動を維持できる期間を延⻑できるかどうかなどを明らかにする必要があるとしている。 「このようなシステムの有効性が証明できれば、新規の要⽀援者の⼈数が減るなど⾼齢者の⼈⽣だけでなく、社会全体の利益や幸福にもつながると期待されます」としている。 筑波⼤学医学医療系Effectiveness of a Remote Monitoring-Based Home Training System for Preventing Frailty in Older Adults in Japan: A Preliminary Randomized Controlled Trial (Geriatrics 2024年2月18日)
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