気候変動による気温上昇が健康リスクを上昇 脳卒中も増加 エアコンを使い高温に対策
気候変動による気温上昇が死亡リスクを上昇
地球温暖化にともなう気候変動による、夜の気温上昇が、死亡リスクを最大で60%上昇させるおそれがあることが、日本・中国・韓国・米国・ドイツの研究者による国際研究で示されている。 熱帯夜が続くことで、正常な睡眠の生理機能が妨げられるおそれがあり、十分な睡眠をとれなくなると、高血圧や糖尿病、心血管疾患などのリスクが高まり、免疫系やメンタルヘルスにも好ましくない影響があらわれるとしている。 「夜間の気温上昇のリスクはしばしば軽視されてきましたが、熱帯夜の頻度は世界中で、今世紀中に30%以上増えると予測されており、その影響は深刻です」と、米ノースカロライナ大学国際公衆衛生大学院のチョウユウ チャン氏は言う 研究グループは、日本・中国・韓国の28都市の1980年~2015年の気温上昇と死亡率との関連を調査し、それぞれの国が政策として掲げる温室効果ガスの削減のシナリオに合わせて、2つの気候変動モデルを作成した。 「気候変動による気温上昇によって引き起こされる健康リスクに対策するために、空調設備の整備を支援するなど、人々の適応を助ける効果的な戦略が必要になります。各国が力を合わせて世界規模で対策することが望まれます」と、チャン氏は指摘している。地球温暖化が脳卒中を増やしている可能性
地球温暖化にともなう気候変動は、世界中の多くの地域で、脳卒中による死亡や障害を増加させている可能性があるという別の研究を、米国神経学会(AAN)が発表した。 これまで気温が低いと血管が狭くなりやすく、血圧が上昇しやすいことが知られているが、今回の研究では気温の上昇も危険因子になりえることが示された。急激な気温の変化に高血圧や糖尿病などが加わると、脳卒中のリスクは上昇するという。 「気候変動により世界中で、とくに高齢者の多い地域や、医療格差の大きい地域で、脳卒中の負担が増加している可能性があります。地球温暖化にともなう気候変動は、人々の健康に広く影響をもたらしていると考えられます」と、中国の中南大学および米国のカリフォルニア大学で脳神経外科を研究しているクアン チェン氏は言う。 研究グループは今回、200以上の国と地域の30年間の医療記録を調査し、最適な気温ではない場合の脳卒中による死亡者数と関連する障害による負担の増加を解析した。 その結果、2019年には、気温が最適でないことに関連した脳卒中による死亡者数は52万1,031人に上り、障害調整生存年(DALY)は940万年になった。 気温の変化をともなう脳卒中による死亡率は、男性では10万人あたり7.7人だったのに対し、女性では5.9人で、男性はより影響を受けやすいことも示された。地域でみると、中央アジアで10万人あたり18人ととくに高かった。 「今回の研究は、気候変動が脳卒中を引き起こす関連性を示しただけで、高血圧や糖尿病、高コレステロールなどの他の危険因子との関連についても不明ですが、その背景として、産業プロセスの変化や森林破壊など、さまざまな原因が考えられます」と、チェン氏は指摘している。The effects of night-time warming on mortality burden under future climate change scenarios: a modelling study (Lancet Planetary Health 2022年8月)
More Than Half A Million Global Stroke Deaths May Be Tied To Climate Change (米国神経学会 2024年4月10日)
Burden of Stroke Attributable to Nonoptimal Temperature in 204 Countries and Territories: A Population-Based Study, 1990-2019 (Neurology 2024年5月14日)
Air Conditioning Has Reduced Mortality Due to High Temperatures in Spain by One Third (バルセロナ国際保健研究所 2023年12月18日)
Drivers of the time-varying heat-cold-mortality association in Spain: A longitudinal observational study (Environment International 2023年12月)
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