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メタボは乳がんリスクを高める 死亡リスクが44%上昇 運動習慣のある女性は乳がんリスクが大幅に減少

 メタボリックシンドロームのない女性は、乳がんによる死亡リスクが低いことが、6万人超の女性を20年以上追跡した大規模な調査で明らかになった。

 メタボのスコアの高い女性は、乳がんによる死亡リスクは44%高いことが示された。

 一方、運動をする習慣のある女性は、乳がんのリスクが低いことも明らかになっている。

 週に3日以上の活発な身体活動をしている女性は、乳がんのリスクが38%減少した。

メタボのスコアの低い女性は乳がんリスクが低い

 メタボリックシンドロームのスコアの低い女性は、乳がんによる死亡リスクが低いことが、大規模な調査で明らかになった。

 研究グループは、米国で実施されている大規模調査である「女性の健康イニシアチブ」(WHI)に参加した、乳がんの既往歴のない閉経後の女性6万3,330人を対象に、20年以上追跡して調査した。

 メタボリックシンドローム(MetS)については、血圧値・コレステロール値・血糖値、および腹囲により判定した。

 その結果、MetSのスコアの高い女性は、肥満に関係なく、予後不良のエストロゲン受容体(ER)陽性、プロゲステロン受容体(PR)陰性のよる乳がんの発症が多くなり、乳がんによる死亡リスクは44%高いことが明らかになった。

 「メタボの判定は健康診断や診療所での診療で簡便に行うことができます。メタボのスコアが高い閉経後の女性は、乳がんによる死亡リスクが高いことはあまり知られていません」と、カリフォルニア大学医療センター腫瘍・血液内科のローワン クレボウスキー氏は言う。

 「男性だけでなく、メタボのある女性も、食事や運動などの生活スタイルを見直すことで、健康改善をはかることをお勧めします」としている。

運動をする習慣のある女性は乳がんリスクが減少
座ったままの時間が長い女性は乳がんリスクが上昇

 女性の乳がんのリスクは、座ったまま過ごす時間を減らし、運動や身体活動を増やすことで減少できることが、大規模な調査で明らかになっている。

 「すべての女性に、将来の乳がん発生率を下げるために、運動や身体活動を積極的に行うことをお勧めします」と、オーストラリアのビクトリア州がん協議会のブリジッド リンチ氏は言う。

 「乳がんは、女性のがんでもっとも一般的にみられる、負担の大きい深刻な疾患です。がんの危険因子となる運動不足を解消し、身体活動を増やし、座ったままの時間を減らすため、生活スタイル改善に重点を置いた保健指導を行うことが大切です」としている。

 研究グループは、欧州系の女性13万957人のデータを解析した。うち6万9,838人は浸潤性の乳がん、6,667人は非浸潤性の乳がんで、5万4,452人は乳がんを発症していない対照群だった。

 さらに、40~69歳の中高年約50万人を対象に追跡して調査している大規模研究である英国バイオバンクの膨大なデータベースも利用し、身体活動と座位時間の影響を遺伝的に解明する解析を行った。

 その結果、身体活動の全体的なレベルがもっとも高い女性は、浸潤性の乳がんのリスクが41%低くなることが明らかになった。閉経、がんの種類、病期、悪性度などに関わらず、この傾向がみられた。

 また、週に3日以上の活発な身体活動をしている女性は、あまり体を動かしていない女性に比べ、乳がんのリスクが38%低下した。この傾向は、閉経前/閉経後を含め、ほとんどのグループで一貫してみられた。

 さらに、座ったまま過ごす時間の長い女性は、トリプルネガティブ乳がんのリスクが104%高くなった。この傾向は、ホルモン陰性のがんタイプ全体で一貫してみられた。

How do obesity and metabolic syndrome affect women's risks of breast cancer and cancer-related death? (WILEY 2024年5月13日)
Breast cancer incidence and mortality by metabolic syndrome and obesity: The Women's Health Initiative (Cancer 2024年5月13日)
Boosting physical activity/curbing sitting time highly likely to lower breast cancer risk (ブリストル大学 2022年9月6日)
Physical activity, sedentary time and breast cancer risk: a Mendelian randomisation study (British Journal of Sports Medicine 2022年9月6日)
[Terahata]
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