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健康的な食事は地球にもやさしい 多様な食品を食べると栄養バランスが良くなり二酸化炭素の排出も減少
2024年06月24日

単一の食材ではなく、肉・魚介・野菜など、多様な食材が含まれる料理は栄養バランスが良いだけでなく、生産の過程で地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出も少ないことが、東京大学の研究で明らかになった。
とくに牛肉の生産は多くの二酸化炭素を排出しているという。食事スタイルを少し変えるだけで、健康を改善できるだけでなく、二酸化炭素の排出量も減らせることも分かった。
「地球にやさしい食事に切り替えることで、多くの人の食生活の健康度も大幅に向上できます」と、研究者は指摘している。
多様な食材を取り入れた料理は栄養価が高く温室効果ガスの排出も少ない
単一の食材ではなく、肉・魚介・野菜など、多様な食材が含まれる「混合食」は栄養バランスが良く、さらには生産の過程で地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出も少ないことが、東京大学の研究で明らかになった。 食料や商品などの、原材料調達から廃棄・リサイクルにいたるまでのライフサイクル全体を通して、二酸化炭素の排出量を、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みは、「カーボンフットプリント」と呼ばれている。二酸化炭素の排出量の削減を推進するために、この表示をした製品は増えている。 研究グループは今回、経済学と数学を用いたモデリングのアプローチを導入し、45種類の料理について、健康・環境・経済の3つの側面から調査した。 味の素のレシピデータベースをもとに選んだ料理について、カーボンフットプリントを定量化し、栄養価と価格を評価した。 さらに、16の食事パターンにより、カーボンフットプリントを最小限に抑えながら、個々の人の栄養ニーズを満たすモデルの構築に取り組んだ。牛肉を含む料理は温室効果ガスの排出量が多い 加熱調理の時間が長いことが影響?
その結果、豚肉と野菜がベースの料理は、カーボンフットプリントが比較的低い一方で、牛肉がベースの料理は、カーボンフットプリントがとくに高いことが明らかになった。鶏肉と魚介類がベースの料理も比較的高かった。 日本の豚肉料理は、一般的に肉の量が少なく、野菜を多く使っており、調理時間が短いことが、低いカーボンフットプリントに影響したと考えられる。 また、牛肉を使った料理は、他の料理よりも加熱調理の時間が長く、直接的な二酸化炭素の排出が多いとしている。 また、カーボンフットプリントの高い料理は高価であり、低いものは安価である傾向も示された。 ただし、カーボンフットプリント全体に対する調理による直接的な二酸化炭素の排出の影響は小さく、主な排出源は原材料の生産過程にあるとしている。食品を選ぶときは栄養だけでなく地球環境への影響も考える必要が
さらに、栄養の評価では、肉ベースの料理はコレステロール量が多く、多様なタイプの料理を食べると栄養バランスが良くなることも分かった。 研究は、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻のロン イン准教授、吉田好邦教授、未来ビジョン研究センターのアレクサンドロス ガスパラトス教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Science Advances」に掲載された。 「今回の研究は、持続可能な食政策の立案に寄与し、健康を確保しながらカーボンフットプリントを削減する指針を提供するものです」と、研究者は述べている。 「世界的に人口が増加し都市化も加速し、食品需要が増大し、持続可能な食生活の選択にトレードオフが生じています。食品の選択が環境と健康に与える影響について、より深い理解が求められています」としている。健康に良く地球環境にもやさしい食事は簡単に実行できる

Mixed diets can meet nutrient requirements with lower carbon footprints (Science Advances 2024年4月10日) ライフサイクルアセスメント/カーボンフットプリント (経済産業省) Study shows simple diet swaps can cut carbon emissions and improve your health (チューレーン大学 2023年10月26日)
Simple dietary substitutions can reduce carbon footprints and improve dietary quality across diverse segments of the US population (Nature Food 2023年10月26日)
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