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就労者の睡眠習慣をスマホアプリで改善 睡眠時間を増やすのに成功 デジタルヘルスを活用
2024年06月24日
デジタル技術を活用し健康改善に役立てようというデジタルヘルスは期待されている。
東京大学などは、就労者の睡眠習慣を改善するために、ウェアラブルデバイスやスマートフォンアプリなどによって構成されるシステムを用い、就労者の睡眠時間を最大で1時間程度増やすのに成功した。
研究グループは、ウェアラブルデバイスから計測される客観的なデータにもとづき、対象者のスマートフォンアプリに睡眠フィードバックを通知し、睡眠についてアドバイスするシステムを開発。
就労者の日常生活での睡眠習慣を、デジタルヘルスにより変容できることを示した。
就労者の睡眠をデジタルヘルスを活用し改善
ウェアラブル計測や人工知能(AI)などのデジタル技術を活用し、健康改善に役立てようというデジタルヘルスは期待されている。 現在、腕時計型の睡眠トラッカーなどのウェアラブルデバイスにより、眠りの長さやタイミングといった睡眠習慣の大まかな面を、簡易に客観的に評価できるようになっている。 その一方で、計測されたデータをどのように睡眠改善に活用していくかについては、十分な検証は行われておらず、実践例も乏しいという現状がある。 そこで東京大学などの研究グループは、ウェアラブルデバイスによる睡眠計測で得られた客観的なデータから、睡眠フィードバック通知を自動生成し、対象者のアプリに自動送信するシステムを開発した。 日本人就労者182人を対象に、約2週間にわたりリストバンド型のセンサーを装着してもらい、毎日の睡眠を記録し、専用スマートフォンアプリを用いて、抑うつ気分、不安、主観的な睡眠の質なども報告してもらった。デジタルヘルスを活用し睡眠時間を1時間増加
人工知能(AI)に正解を与えない状態で学習させる教師なし機械学習という手法を用いて、眠りの長さやタイミング、効率が日によって大きく変動する傾向、すなわち睡眠の不安定性がみられる集団を同定した。 その結果、睡眠時間が不安定な人ほど、抑うつ気分や不安があり、主観的睡眠の質を低く評価していることが明らかになった。 続いて、睡眠時間の安定化を目的としたデジタルヘルスによる睡眠介入の研究を実施した。参加者に再度2週間にわたる睡眠計測と心身症状の評価を行ってもらった。 ウェアラブルデバイスから計測される客観的なデータにもとづき、対象者のスマートフォンアプリに睡眠フィードバックを通知し、睡眠についてアドバイスした。 その結果、通知を受けとった場合では受けとらなかった場合に比べて、睡眠時間が最大で1時間程度増加することが示された。さらに、元来睡眠の乱れが顕著だった集団では、睡眠時間の安定性が改善したことも確認された。
就労者の睡眠をデジタルヘルスを活用し改善
スマホアプリにメッセージを送り睡眠についてアドバイス
介入により翌日の睡眠時間が増加 睡眠時間の安定性が改善
介入により翌日の睡眠時間が増加 睡眠時間の安定性が改善
出典:東京大学、2024年
デジタルを活用して就労者の健康行動を促進
なお、研究の期間中は、毎日昼の12時に昨晩の睡眠時間が個人ごとに自動推定され、参加者のスマートフォンアプリに、「昨日の睡眠時間は、あなたの平均的な睡眠時間より、○○分程度長かった/短かったです」といったフィードバック通知を一定の確率(50%)で送信した。 これにより、通知を受けとった場合と受けとらなかった場合とのあいだで、その後の睡眠行動の変化を個人内で比較することが可能になる。 こうした介入内容をランダム化させる手法はマイクロランダム化と呼ばれており、日常生活下での健康介入の即時的な効果を検証する手法として近年注目を集めている。 研究は、東京大学大学院教育学研究科の山本義春教授、竹内皓紀特任研究員らによる研究グループによるもの。 「研究で得られた知見は、脆弱化した健康状態の検知にもとづく、日常生活下での実時間介入の重要性を示唆するものです。就労者健康行動を促すための介入で、ウェアラブル計測技術を利活用した方略の一例となることが期待されます」と、研究者は述べている。 東京大学大学院教育学研究科・教育学部Just-in-Time Adaptive Intervention for Stabilizing Sleep Hours of Japanese Workers: Microrandomized Trial (Journal of Medical Internet Research 2023年6月13日)
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