ニュース

「日焼け止め」のパラドックス 間違った塗り方をすると効果は半分以下に減ることが判明 日焼け止めの上手な使い方

 太陽の日差しの強い夏の時期に、暑さに加えて、紫外線に対策するために、日焼け止めを利用している人は多い。

 しかし、「間違った日焼け止めの使い方をしている人が多い。紫外線を遮断する効果を十分に得られておらず、期待している効果の半分以下しか得られていない」という調査結果が発表された。

間違った日焼け止めの使い方をしている人が多い

 太陽の日差しの強い夏の時期に、暑さに加えて、紫外線に対策するために、日焼け止めを利用している人は多い。

 その一方で、紫外線を浴びることが原因のメラノーマ(悪性黒色腫)や皮膚がんを発症する人は増加している。

 この「日焼け止めのパラドックス」について、「間違った日焼け止めの使い方をしていることが影響している」という調査結果を、カナダのマギル大学が発表した。

 「日焼け止めを十分に皮膚に塗らない人や、塗り直しをしないで日光を長時間浴びている人が多いことが分かりました」と、同大学皮膚科のリッチー ジェレミアン氏は言う。

 「日焼け止めを使っているから、自分は皮膚がんから守られているという、誤った安心感を抱く人が多いことが示されました」としている。

日焼け止めの上手な使い方

 研究グループは、カナダの大西洋岸で実施されている、日焼け防止と皮膚がんなどとの関連を調べている、SunFit研究に参加した約7,500人を対象に調査した。

 その結果、日焼け止めを使用している人は、期待している半分以下の効果しか得られていないことが示された。

 研究グループは日焼け止めの使い方について、次の注意点を挙げている。

日焼け止めの上手な使い方

日焼け止めを顔だけでなく身体にも適量を塗る
塗り残しができないようにしながら全体にムラなく塗る
使用量を減らして薄く塗ると十分な効果を得られなくなるので注意する
外出の前に1度だけ塗るのではなく、効果を保つために2~3時間おきに塗り直す
部屋のなかにいても窓から日差しが入る場合は使用する
皮膚の保湿ケアも行う

日焼け止めを十分に塗らないと保護効果を得られない

 日焼け止めを使用している人は、紫外線を遮断する効果を十分に得られておらず、期待している効果の半分以下しか得られていないという調査結果を、英国のキングス カレッジ ロンドンも発表している。

 研究グループは、16人の色白のボランティアを対象に、SPFの数値を変えた日焼け止めを塗ってもらい、5日間連続で紫外線を浴びてもらった。

 その結果、日焼け止めを十分に塗った場合は、紫外線によるダメージは少なかったが、少ない量を塗った場合は、保護効果を得られないことが示された。

 また、SPF50の日焼け止めを塗っても、期待される保護効果の40%しか得られないことも判明した。研究グループは、紫外線によるダメージから身​​を守るために、なるべくSPF値の高い日焼け止めを使用することを勧めている。

 「日焼け止めが、太陽の紫外線によりがんを誘発する作用から肌を守るために、重要な役割を果たすことは間違いではありません。しかし、日焼け止めの塗り方が、その効果に大きく影響することを知っておくべきです」と、同大学皮膚科のアントニー ヤング教授は言う。

 また、「日焼け止めだけに頼るのではなく、衣服や日陰も利用することもお勧めします」としている。

日焼け止めの表示[SPF・PA・UV耐水性]

 太陽の日差しの強い夏の時期に、紫外線に対策するために、日焼け止めが欠かせないが、その表示に従来の「SPF」や「PA」に、「UV耐水性」が2022年に追加された。

 日焼け止めの「SPF」の表示は、肌に赤みや炎症を起こさせやすい紫外線B波(UVB)に対する防止効果を示すもので、数値が大きいほど効果は高まる。「PA」は、シミやシワの原因になる紫外線A波(UVA)対する防止効果を示すもので、「+」の数が増えるほど効果は高まる。

 また「UV耐水性」は、水に接したり、浸かったりするときの、肌の外部から付着する水分に対する日やけ防止効果の維持(強さ)を示すもので、汗に対する日やけ防止効果の維持を示すものではない。

 なお、「★ (あるいは☆)」の数が1つか2つで効果の強さを示し、「★ (塗りつぶしあり)」と「☆(塗りつぶしなし)」で効果の違いはない。

 また、「UV耐水性」の表記の有無にかかわらず、日やけ止めの効果を保つためには、2~3時間を目安にこまめに塗り直すことが必要になる。

Understanding the Perceived Relationship between Sun Exposure and Melanoma in Atlantic Canada: A Consensual Qualitative Study Highlighting a "Sunscreen Paradox" (Cancers 2023年9月26日)
The sunscreen paradox: McGill University researchers warn of 'false sense of security' (マギル大学 2023年10月24日)
Sunscreen users receive less than half the sun protection they think, study finds (キングス カレッジ ロンドン 2018年7月24日)
Sub-optimal Application of a High SPF Sunscreen Prevents Epidermal DNA Damage in Vivo (Acta Dermato Venereologica 2018年7月25日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年06月10日
【アプリ活用で運動不足を解消】1日の歩数を増やすのに効果的 大阪府健康アプリの効果を8万人超で検証
2025年06月09日
【睡眠改善の最新情報】大人も子供も睡眠不足 スマホと専用アプリで睡眠を改善 良い睡眠をとるためのポイントは?
2025年06月09日
健康状態が良好で職場で働きがいがあると仕事のパフォーマンスが向上 労働者の健康を良好に維持する取り組みが必要
2025年06月09日
ヨガは肥満・メタボのある人の体重管理に役立つ ヨガは暑い夏にも涼しい部屋でできる ひざの痛みも軽減
2025年06月05日
【専門職向けアンケート】飲酒量低減・減酒に向けた酒類メーカーの取り組みについての意識調査(第2回)
2025年06月02日
【熱中症予防の最新情報】職場の熱中症対策に取り組む企業が増加 全国の熱中症搬送者数を予測するサイトを公開
2025年06月02日
【勤労者の長期病休を調査】長期病休の年齢にともなう変化は男女で異なる 産業保健では性差や年齢差を考慮した支援が必要
2025年06月02日
女性の月経不順リスクに職場の心身ストレスが影響 ストレスチェック活用により女性の健康を支援
2025年06月02日
自然とのふれあいがメンタルヘルスを改善 森が人間の健康とウェルビーイングを高める
2025年05月30日
都民の健康意識は高まるも特定健診の受診率は66% 「都民の健康と医療に関する実態と意識」調査
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶