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糖質の多い甘い清涼飲料が「うつ病」のリスクを高める ブラックコーヒーはリスクを低下 日本人8万人超を調査
2024年07月08日

糖質の含まれる甘味飲料・炭酸飲料・野菜・果物ジュース・コーヒー飲料の摂取量が多い人は、うつ病の発症リスクが2.3~3.6%高いことが、国立精神・神経医療研究センターなどが40~74歳の中高年8万人超を5年間追跡した大規模な調査で明らかになった。
一方、ブラックコーヒーの摂取量が多い人は、うつ病のリスクが1.7%低かった。
糖質の過剰摂取による脳由来神経栄養因子の減少や炎症作用、カフェインによる抗酸化作用や抗炎症作用の影響が考えられるとしている。
糖質の含まれる甘い清涼飲料の飲みすぎでうつ病リスクが上昇
糖質の含まれる甘味飲料・炭酸飲料・野菜・果物ジュース・コーヒー飲料の摂取量が多い人は、うつ病の発症リスクが2.3~3.6%高いことが、国立精神・神経医療研究センターなどが40~74歳の中高年8万人超を5年間追跡した大規模な調査で明らかになった。 一方、ブラックコーヒーの摂取量が多い人は、うつ病のリスクが1.7%低かった。コーヒーは砂糖入りかブラックかで、うつ病への正反対の影響が示された。 また、これまで野菜・果物を食べると、うつ病に予防的に働くことが示されていたが、野菜・果物ジュースを飲むと、逆にリスクは高くなることが分かった。 これは、同センター 精神保健研究所 行動医学研究部の成田瑞氏らの研究グループが、国立がん研究センターなどと共同で行っている次世代多目的コホート研究「JPHC-NEXT」で明らかにしたもの。研究成果は、栄養学専門誌「Clinical Nutrition」で発表された。 「JPHC-NEXT」は、日本人の生活習慣・環境が、がんなどの生活習慣病とどのように関わっているのかを明らかにすることを目的に実施されている研究。2011年に開始され、約11.5万人を対象に行われている。 関連情報コーヒーを飲む習慣はうつ病に予防的に働く?
研究グループは2011~2016年に、「JPHC-NEXT」に参加した、秋田・岩手・茨城・長野・高知・愛媛・長崎に在住している40~74歳の男女約10万人を対象に調査し、うち8万497人が5年間のうつ病追跡調査を完了した。 該当する飲料を「摂取していない」「少し摂取している」「中くらい摂取している」「多く摂取している」という4グループに分け比較した。また、5年後のアンケート回答結果から、うつ病自己評価尺度である「CES-D」を改変した11項目の質問により、うつ病を評価。 「糖質の含まれる飲料による、脳由来神経栄養因子の減少や炎症作用が影響していると考えられます。また、コーヒーを飲む習慣はうつ病に予防的に働くことが示唆され、カフェインによる抗酸化作用や抗炎症作用が影響したと考えられます」と、研究者は述べている。 「ただし、コーヒーは砂糖入りかブラックかにより、うつ病への影響が異なる可能性があります。研究から、全体としては糖質の含まれる甘味飲料の摂取を控えることが、うつ病の予防には良いと考えられます」としてい。 なお、今回の研究は、40~74歳の人に限られた研究であり、また精神科医の診断ではなく質問紙でうつ病を評価しており、リスク差が大きいものでも3.6%であることなどから、さらなる研究が必要としている。
糖質の多い飲料を多く飲んでいる人はうつ病リスクが高い
ブラックコーヒーを飲んでいる人はうつ病リスクは低下
各種飲料を飲んでいる人とまったく飲まない人のうつ病リスクを比較
ブラックコーヒーを飲んでいる人はうつ病リスクは低下
各種飲料を飲んでいる人とまったく飲まない人のうつ病リスクを比較

出典:国立精神・神経医療研究センター、2024年
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所Association of sugary drinks, carbonated beverages, vegetable and fruit juices, sweetened and black coffee, and green tea with subsequent depression: A five-year cohort study (Clinical Nutrition 2024年4月17日)
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