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地域住⺠のフレイルに産官学民が連携して対策 フレイル予防のポピュレーションアプローチに関する声明と提言
2024年09月02日

医療経済研究・社会保険福祉協会 フレイル予防啓発に関する有識者委員会(委員⻑:葛谷雅文)は、「フレイル予防のポピュレーションアプローチに関する声明と提言」をまとめ公開を開始した。
「フレイル予防の考え方は、決して65歳以上の高齢者になってから意識するものではなく、壮年層および若年層も視野に入れ、全世代を対象として、十分な国⺠啓発を行うべき」としている。
コロナ禍で高齢者のフレイルが進行 対策が必要
医療経済研究・社会保険福祉協会のフレイル予防啓発に関する有識者委員会(委員⻑:葛谷雅文)は、「フレイル予防のポピュレーションアプローチに関する声明と提言」をまとめ公開を開始した。 2020年初頭からはじまった新型コロナウイルス感染症の流行下で、とくに高齢者の自粛生活⻑期化による生活不活発が助⻑され、結果的に心身機能と認知機能が低下してしまう(フレイル状態がさらに進行する)状況が確認されている。 声明・提言では「フレイルには可逆性がある。行政や産業界など産官学民が連携して、地域住⺠の集団(健常な人とフレイルに該当する人すべて)に対して行うフレイルの啓発(一次予防)から環境整備(ゼロ次予防)にいたる、一連のフレイル予防の対策の展開が必要」などとしている。地域住⺠に対する啓発と環境整備 行政や産業界などと連携
フレイル予防住民啓発用パンフレット
(フレイル予防推進会議)
(フレイル予防推進会議)

具体的な行動指針を提示
同委員会では、フレイル予防のポピュレーションアプローチを、「行政や産業界などがそれぞれあるいは連携して、地域住⺠の集団(健常な人とフレイルに該当する人すべて)に対して行うフレイルの啓発(一次予防)から環境整備(ゼロ次予防)にいたる、一連のフレイル予防の対策の展開の体系」としている。 フレイル予防のポピュレーションアプローチを担当する専門職などに向けて、具体的な行動指針として、主に次のことを挙げている。食事の行動指針 | 体格や適正体重、摂取エネルギー、食品多様性、摂取タンパク質、ビタミンDなどに対する具体的な推奨内容など |
---|---|
口腔機能の行動指針 | フレイルと口腔機能の関係など |
身体活動・運動の行動指針など | |
社会参加(社会活動)の行動指針 | 人との交流や社会活動への参加など |
地域でのフレイル予防の実例も
声明・提言では参考資料として、フレイル予防のポピュレーションアプローチの体制の例として、それぞれの地域でのフレイル予防拠点の設置についての実例も掲載されている。 たとえば、東京都豊島区はフレイルサポーターを養成し、2019年には全国ではじめてフレイル対策センターを開設した。 神奈川三浦市もフレイルチェックを導入し、フレイル予防の拠点としてフレイルサポートセンターを開設。いつでも誰でもフレイルチェックを受けられる体制を整備している。 声明・提言ではさらに、「フレイル予防住民啓発用パンフレット説明問答集」「フレイル予防のポピュレーションアプローチの推進に関する地方公共団体担当者向け基本問答集」なども公開している。フレイル予防啓発に関する有識者委員会
フレイル予防のポピュレーションアプローチに関する声明と提言
主な目次
フレイル予防のポピュレーションアプローチに関する声明と提言
主な目次
- はじめに
- フレイルの概念及びその特徴と構造
- フレイル予防のポピュレーションアプローチの重要性
- ポピュレーションアプローチに主眼をおいたフレイル予防の体系的かつ統一的な声明 (1) フレイル予防及びフレイル予防のポピュレーションアプローチの概念と考え方
- おわりに ― 幅広い関係者によるフレイル予防推進活動の展開への提言
(2) フレイル予防のポピュレーションアプローチにおける行動指針
(3) フレイル予防のポピュレーションアプローチの展開の手法
(4) フレイルに関するデータの解析やポピュレーションアプローチの効果の計測などの調査研究の重要性
フレイル予防のポピュレーションアプローチにおける行動指針
第一部 一般向け
第二部 フレイル予防のポピュレーションアプローチを担当する方向け
フレイル予防のポピュレーションアプローチに関する声明と提言(参考資料) 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構
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