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就業者は増加傾向に 働き方改革も進む-「令和6年版 労働経済の分析」厚労省より

 厚生労働省はこのほど「令和6年版 労働経済の分析(労働経済白書)」を公表した。

 経済社会活動が活発化する中で、雇用情勢には改善の動きがあり、労働参加は着実に進展している様子が見られた。
 また働き方改革の影響で労働時間が減少傾向にあることもわかった。

女性や高年齢層の労働力率は上昇傾向

 労働経済白書は統計データを用い経済全般や雇用、労働時間の現状・課題について分析したもの。75回目の公表となる今回のテーマは「人手不足への対応」で、第1部で2023年の雇用情勢や賃金、経済の動きをまとめた。第2部では人手不足の動向とその背景を分析し、今後の方向性などを示している。

 この中で「就業者・雇用者の動向」について述べたパートでは、2023年は2021年以降に引き続き、「就業者・雇用者数は増加傾向」「完全失業者数、非労働力人口、休業者数は減少傾向」だったとし、「労働参加の着実な進展がみられた」と分析。特に2023 年の労働力人口と雇用者数が過去最高を記録した点を強調した。

 この状況を支えているのが、女性や高年齢層の労働力率が上昇傾向にあることだ。

 2023年の女性の労働力率は54.8%。2020年に新型コロナウイルス感染症拡大の影響などで労働力率の停滞が見られたが、2021年以降は再び上昇傾向にある。

 高齢者については、国際的に見ても就業率は高い水準を保っている。2013年以降、特に60−64歳、65−69歳において大きく上昇。定年退職に伴う「就業率の壁」はこれまで60歳にあると考えられているが、高齢者の雇用確保措置などにより65歳にシフトしている。男性においては60歳を境に、非正規雇用比率が大きく高まる傾向がある。

 雇用者の動向においては、雇用形態別に見た場合、2023年の正規雇用労働者は3606万人で、女性を中心に9年連続で増加している。

 一方、非正規雇用労働者は2124万人。2009年のリーマンショック、2020年のコロナ禍など景気後退の影響があった際には一時的な現象が見られたが、長期的には増加傾向にある。

 男女別で比較すると、正規雇用労働者は男性が2338万人、女性が1267万人。非正規雇用労働者は男性が683万人、女性が1267万人。男性よりも女性は正規雇用が少なく、非正規雇用が多い、という格差は縮まっていない。女性の場合は、非労働力・失業からの就労参加(再就職など)は非正規雇用が中心となっている。

労働時間は減少傾向

 労働時間・賃金の動向について述べたパートでは、労働時間とともに休暇の動向についても分析している。

 従業員5人以上の事業所における労働者1人あたりの月間総実労働時間は、働き方改革の進展などにより長期的には減少傾向にある。2020年はコロナ禍の影響で大幅に減少したため、2021年以降は所定内労働時間・所定外労働時間ともに増加したが、2023年は横ばい。ただし、コロナ禍以前の2019年に比較すると低い水準になっている。

 週60時間以上働く労働者の割合は、男女ともに2020年までは低下傾向で推移してきたが、2021年以降は横ばいとなっており、2023年は全体の5.0%だった。男性は7.5%、女性は1.9%と男女差が大きいため、男性の長時間労働改善が求められる。

 一方、年次有給休暇の取得率は2016年以降、8年連続で上昇。2023年調査(2022年の状況)は1984年の調査開始以降、初めて6割を超えた。

 企業規模別では2016年調査(2015年の状況)以降、すべての企業規模で上昇傾向にある。規模が大きい企業ほど取得率が一貫して高い傾向にあるが、30-99人規模の企業が2020年調査(2019年の状況)で5割を超えるなど、中小企業においても取得率の上昇が見られる。

 産業別では、この10年間で「医療、福祉」「建設業」「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」などの取得率が大きく上昇した。

「令和6年版 労働経済の分析」を公表します(厚生労働省)
[yoshioka]
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