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運動習慣があれば肥満・メタボがあっても健康リスクは上昇しない 運動は優れた「薬」 体脂肪も健康に

 過体重や肥満のある人も、ウォーキングや筋トレなどの運動を習慣として行っていると、心血管疾患や死亡のリスクは上昇しないことが、40万人近くの成人を対象とした研究で明らかになった。

 一方で、肥満があり運動不足の人は、死亡リスクが大幅に高いことも示された。

 肥満のある人が運動を長期にわたり続けていると、運動をしていない人に比べ、体にたまった脂肪が健康であることも分かった。

 「運動は単なるカロリー消費のための方法ではありません。運動は健康を全体的に最適化する優れた薬であり、あらゆる体格の人々の体を病気から守るのに役立ちます」と、研究者は指摘している。

肥満のある人も運動をすると健康は大幅に改善 運動は優れた「薬」

 過体重や肥満のある人も、運動を習慣として行っていると、心血管疾患や死亡のリスクは上昇しないことが、40万人近くの成人を対象とした米バージニア大学などの新しい研究で明らかになった。

 一方で、肥満があり運動不足の人は、死亡リスクが大幅に高いことも示された。

 研究グループは、計39万8,716人の成人を対象とした20件の研究を解析し、肥満と心肺機能、死亡リスクなどとの関連を調べた。心肺機能(CRF)については、最大運動負荷試験や心肺運動負荷試験によって評価した。

 その結果、体格指数(BMI)の高い肥満の人は、標準体重の健康な人に比べて、あらゆる原因による死亡と心血管疾患による死亡の両方のリスクが2~3倍高いことが分かった。

 とくに、肥満があり運動習慣のない不健康な人は、死亡リスクは3倍以上に上昇した。肥満ではないが、運動習慣がなく不健康な人も、死亡リスクは2倍に上昇した。

 一方で、運動を行う習慣があり、心肺機能が良好な人は、肥満があっても死亡リスクは標準体重の人と同程度だった。

「ヨーヨーダイエット」も肥満と同じくらい危険

 「肥満があっても、運動をして健康的な生活をしている人は、標準体重の人に比べ死亡リスクは同程度であり、肥満はないけれど不健康な生活をしている人に比べても、死亡リスクは大幅に低いことが示されました」と、米バージニア大学で運動生理学を研究しているシッダールタ アンガディ氏は言う。

 「ウォーキングなどの有酸素運動や、筋力トレーニングなどを習慣として行うことで、心肺機能は向上します。運動は単なるカロリー消費のための方法ではありません。運動は健康を全体的に最適化する優れた薬であり、あらゆる体格の人々の心臓血管疾患や死亡のリスクを減らすのに役立ちます」としている。

 なお、体重が減ったり増えたりをサイクルとして繰り返す、いわゆる「ヨーヨーダイエット」も、肥満そのものに匹敵する多くの健康リスクと関連していることも示された。心肺機能を改善することは、ヨーヨーダイエットにともなう健康への悪影響を減らすのに役立つ可能性があるとしている。

 「体重を減らした人の多くは、その後にリバウンドし、体重を戻してしまいます。肥満のある人の減量を支援し、健康的な体重を維持するための戦略も必要です」と、アリゾナ州立大学ヘルスソリューション学部のグレン ゲッサー教授は述べている。

肥満のある人も運動を続けると体にたまった脂肪が健康に

 肥満のある人も、ウォーキングや筋トレなどの運動を長期にわたり続けていると、運動をしていない人に比べ、体にたまった脂肪が健康であることが、ミシガン大学の別の研究で明らかになった。

 「運動は、カロリーを消費する効果的な手段であるだけではありません。数ヵ月から数年にわたり習慣として行うことで、加齢にともなう体重増加があっても、体脂肪をより健康的に蓄えられるように脂肪組織が変化することが示されました」と、米ミシガン大学運動科学部のジェフリー ホロウィッツ教授は言う。

 研究グループは、運動を週に4回以上行うことを2年以上続けている16人の成人と、運動を行う習慣がなく、体脂肪量、体重、性別などの条件が一致した16人の成人を、平均11年追跡して比較した。

 その結果、運動をしている人の体の脂肪組織では、構造や生物学的な特徴に変化が起きており、体が脂肪を蓄える能力が高まっていたが、運動をしていない人では、こうした特徴はみられなかった。

 具体的には、肥満があっても運動を習慣として行っている人では、血管や、細胞内のエネルギー産生をするミトコンドリア、有益なタンパク質が多く、代謝を妨げるコラーゲンや、炎症を引き起こす細胞は少なかった。

 運動をしている人は、体重が増えた場合でも、余分な脂肪は内臓や肝臓、心臓などにたまるのではなく、皮下に蓄積されやすく、体脂肪がより健康的としている。

 「脂肪の不健康な蓄積は、肥満や糖尿病などのリスクを高めます。さらには、肝臓に余分な脂肪が蓄積される非アルコール性脂肪性肝疾患のリスクも上昇し、肝硬変やがんなどの病気のリスクを高めます」と、ホロウィッツ教授は指摘する。

 「運動に取り組むことで、脂肪組織の量は変わらない場合でも、その質に好ましい変化があらわれると考えられます。今後の研究で、脂肪組織の変化にもっと良い反応を示す運動の種類や強度などについて調査する予定です」としている。

Why Weight? Researchers Say It's Fitness That Matters (バージニア大学 2024年11月13日)
Cardiorespiratory fitness, body mass index and mortality: a systematic review and meta-analysis (British Journal of Sports Medicine 2024年11月13日)
Long-term exercisers have 'healthier' belly fat (ミシガン大学 2024年9月10日)
Years of endurance exercise training remodel abdominal subcutaneous adipose tissue in adults with overweight or obesity (Nature Metabolism 2024年9月10日)
[Terahata]
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