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【働きやすい職場環境】環境に敏感に反応する人はストレスを感じやすい 職場では周囲と「協調」して仕事ができる
2024年11月25日
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大阪大学は、企業で働く人の職場でのストレス負荷を調査し、環境に敏感に反応しやすい「HSP」の人は、ストレスを感じやすい一方で、職場では周囲と「協調」して仕事ができるという長所もあることを明らかにした。
研究は、日本国内の企業に勤務している18~81歳の社会人を調査したもの。4人に1人以上にあたる26%が、HSP特性の高い社会人に当てはまるとしている。
「HSPはその繊細さから、ストレスを感じやすいと考えられています。ストレスの捉え方は人によって異なるため、サポートするためにはストレスを感じやすい人の特性を理解することが重要です」と、研究者は述べている。
環境に敏感に反応しやすいHSP 企業で働く人の特性を調査
大阪大学は、環境刺激に対して敏感に反応しやすい人(HSP)について、企業で働く人を対象に調査を行い、HSPは職場で比較的ストレスを感じやすい傾向があるものの、一方で「同僚に共感しやすい」という企業にとってポジティブに作用する側面もあることを明らかにした。 HSPは、良くも悪くも環境の影響を受けやすい性質を生まれもった人のこと。「Highly Sensitive Person(敏感に反応しやすい人)」の略で、米国の心理学者により提唱した心理学的概念。全人口の約30%、10人に3人はHSPと考えられている。 職場でのストレスは、職務への不満、感情的疲労などが根底にあると考えられ、早期離職などの原因にもなりえる。 企業などではメンター制度による人材育成などの対策がとられているが、ストレスの捉え方が個人によって異なるため、ニーズに合ったサポートが提供されているとは限らない。 「職場で身近にストレスを抱え、悩んでいる人は少なくありません。そうした人は、ただ神経質、あるいは悲観的なだけととられるかもしれませんが、ストレスの捉え方は人によって異なるため、その人をサポートするためには、ストレスを感じやすい人の特性を理解することが重要です」と、研究者は述べている。 関連情報ストレスを感じやすい人は周囲を思いやりながら仕事ができる!
社会人を対象とした海外の研究では、HSPの悲観性といった人格特性は考慮されておらず、またストレスを抱えやすいといったネガティブな側面にばかりに焦点があてられ、社会や所属組織にもたらすポジティブな側面にはあまり目が向けられていなかった。 そこで研究グループは、日本国内の企業に勤務している18~81歳の社会人296人を対象に調査を実施して、HSP特性と職場でのストレスの関係を調べた。 その結果、調査参加者の4人に1人以上にあたる約26%が、このHSP特性の高い社会人に当てはまることが分かった。 また、HSP特有の楽観性や悲観性を考慮しても、HSPの特性が高い社会人ほど、疎外されていると感じやすく、ストレスを感じやすい傾向があることが示された。 さらに、HSPの特性が高い社会人ほど、同僚など他の人に共感しやすいことも示唆された。これは、同僚など周囲の人と協調して仕事を進められることを示しており、職場にポジティブに作用する可能性がある。 HSPには、「同僚に共感しやすい=分かってもらいたい」という人間の欲求を満たし、周囲と協力して仕事を進めることができるという、企業にとってポジティブに作用する側面もあるとしている。
出典:大阪大学、2024年
誰もが働きやすい職場環境をデザイン
「これまで、主に児童から大学生までを対象とした研究が行われていますが、企業で働く社会人を対象とした研究はありませんでした。企業で働く社会人を対象として、HSPが職場でストレスを感じやすいことを示したのは本研究が初めてです」と、研究者は述べている。 「HSPの理解とサポートは、企業環境デザインにも関わる問題であり、研究成果はすべての従業員の健康と福祉につながりうると考えられます。企業でHSP研究を進めることは、ストレスが原因の離職を防ぎ、健康と福祉を享受できる職場環境デザインに役立つと期待されます」としている。 研究は、大阪大学国際教育交流センターの井奥智大特任助教、大学院人間科学研究科の綿村英一郎准教授の研究グループによるもの。研究成果は、「応用心理学研究」に掲載された。 大阪大学 国際教育交流センター大阪大学人間科学研究科/人間科学部
企業で働くHighly Sensitive Personはストレスを感じ,共感しやすいか (応用心理学研究 2024年7月31日)
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