働く女性は年々増加している 一方で賃金格差など解決が求められる課題も-令和5年版「働く女性の実情」より
厚生労働省はこのほど、令和5年版「働く女性の実情」をとりまとめ、公表した。
働く女性は増え続けている一方、男女間賃金格差の問題は解消されていないなど、現状と課題をまとめたもので、女性労働に関する情報が集約されている。
内容は「働く女性の状況」と「働く女性に関する対策の概況」の二本立てになっている。まず「働く女性の状況」について、いくつかのポイントを見ていく。
総務省の労働力調査によると、令和5年の女性の労働力人口は3,124万人で、前年に比べて28万人増加した。男女合わせた労働力人口総数は6,925万人だったので、これに占める女性割合は45.1%と年々上昇している。
女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は、結婚や出産にあたる30代で一旦低下し、育児が落ち着いた40代以降で再び上昇する、いわゆる「M字カーブ」を描くことが知られていた。
そのM字の谷の部分となる「35〜39歳」の割合が前年比10.5ポイント上昇し、底が浅くなってきている。「30〜34歳」も前年比12.5ポイント上昇しており、グラフ全体の形はM字型から台形に近づきつつある。
一方、令和5年における女性の就業者数は3,051万人で、前年比27万人の増加だった。就業率は53.6%で、前年比0.6ポイント上昇している。就業者数の内訳は雇用者が2793万人、家族従業者が101万人、自営業者が143万人など。
このうち女性の雇用者数は前年比28万人の増加。雇用者総数6076万人に占める女性の割合は46%となり、前年比0.2ポイントの増加だった。
女性雇用者数を産業別に見ると、最も多いのは「医療、福祉」の669万人で全体の24%を占める。次いで「卸売業、小売業」516万人(18.5%)、「製造業」303万人(10.8%)、「宿泊業、飲食サービス業」223万人(8%)などの順に多い。前年比で雇用者数が多く増えたのは「宿泊業、飲食サービス業」で、前年比13万人増だった。
令和5年の一般労働者(短時間労働者以外)の所定内給与額は男性が35万900円だったのに対し、女性は26万2600円。賃金格差(男性を100とした場合の女性の所定内給与額)は74.8だった。
政府の「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」が6月に公表した中間取りまとめによると、男女間の賃金格差は長期的には減少傾向にあるものの、欧米主要国と比較すると依然として格差が大きいことが指摘されている。
一方で男女間賃金格差には産業ごとにばらつきがあり、企業規模別では大企業の方が大きいことも明らかになっている。また男女間賃金格差が大きい地域から若い女性が流出している可能性についても触れ、「格差解消は地域経済の持続性を高める上でも重要」としていた。
一方、「働く女性に関する対策の概況」では「仕事と生活の調和の実現に向けた取組」について言及している。
たとえば男性の育休取得なども含め、仕事と家庭の両立をサポートする制度や雇用環境改善などについて、周知啓発活動を実施していること。また「女性の活躍・両立支援総合サイト 両立支援のひろば」の運用などを通し、企業の自主的な取り組みも促していることなどを紹介している。
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