60歳を超える高年齢者の就業機会が増加 70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は前年比2.2ポイント増(厚生労働省)

厚生労働省はこのほど、令和6年「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日時点)の集計結果を取りまとめ、公表した。
令和3年施行の改正高年齢者雇用安定法により、60歳を超える高年齢者の就業機会が増えてきていることが明らかになった。
少子高齢化が進む中、経済社会の活力を維持するためには働く意欲のある高年齢者が活躍できる環境整備が求められている。そのような社会変化もあり、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、令和3年4月1日から施行されている。
この改正高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう、企業に義務付けた。
さらに70歳までの就業機会の確保を目的として、①70歳までの定年の引上げ、②定年制の廃止、③70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入、④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入、⑤70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入、のいずれかの措置を講ずるよう努力義務を設けている。これらは努力義務であり、70歳までの定年年齢引き上げを義務付けるものではない。
そのような中、今回の「高年齢者雇用状況等報告」では、従業員21人以上の企業23万7052社からの報告をもとに、高年齢者の雇用等に関する措置について実施状況をまとめた。内訳は、大企業(301人以上規模)が1万7060社、中小企業(21~300人規模)が21万9992社。
まとめによると、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%。大企業だけに限ると昨年比0.1ポイント増加し、100%になった。雇用確保措置の措置内容で最も多かったのは「継続雇用制度の導入」で67.4%、次いで「定年の引上げ」が28.7%。「定年制の廃止」は3.9%だった。
一方、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は31.9%で前年比2.2ポイント増。企業の規模別で比べると中小企業では32.4%、大企業では25.5%で実施済みとなっており、中小企業を中心に70歳まで働ける環境が整いつつある。
また「企業における定年制の状況」については、定年を65歳以上(定年制の廃止企業を含む)とする企業は32.6%で、前年比1.8ポイント増加した。
厚労省ではより一層の推進に向け、高年齢者雇用確保措置を実施していない企業に対して、都道府県労働局、ハローワークによる必要な指導や助言を実施していく方針。
保健指導リソースガイドでは、保健指導に携わる人が知っておきたい法律・制度をまとめた「保健指導アトラス」を公開しています。幼年期~高年期まで、各年代の方々に関係が深いと考えられる法律・制度を原文で確認できる一覧です。
「産業保健」のページにて、「高年齢者雇用安定法」の関連情報を掲載していますのでぜひご活用ください。
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します(厚生労働省/2024年12月20日) 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~について(厚生労働省)


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