企業のカスハラ・就活ハラスメント対策 経団連調査で見えた実態

日本経済団体連合会(経団連)がこのほど、『ハラスメント防止対策に関するアンケート調査結果』を公表した。
カスタマーハラスメント(カスハラ)や就活ハラスメントへの企業の対応状況を調査しており、その実態が明らかになった。
調査は経団連の企業会員1621社を対象に、2024年8~9月に実施。回答は222社(回答率13.7%)だった。
顧客や取引先による不適切な要求や暴言などを「カスタマーハラスメント(カスハラ)」と呼ぶ。社会通念上、不相当な言動が労働者の就業環境を害するものが該当する。近年、問題視されるケースが増えており、東京都が防止指針を策定するなど、対策が進められている。
経団連の調査によると、カスハラ対策について「積極的に実施」している企業は24.3%、「検討中」は18.9%で、計43.2%にのぼる。一方、対策が必要と認識しながらも具体的な対応を取っていない企業は27.5%だった。
具体的な取り組みでは、「従業員を対象とした相談窓口の設置」が73.3%で最多。次いで「社内向けの対応マニュアルの策定」(61.7%)、「顧問弁護士や警察等との連携」(60.0%)、「カスハラ発生時の社内体制の構築」(58.3%)が続いた。
一方、採用担当者が優越的な立場を利用し、就活生に不当な言動をする「就活ハラスメント」も問題視されている。厚労省は「許されない行為であり、企業にとっても大きなリスク」と警鐘を鳴らしている。
経団連の調査では、就活ハラスメントについて「対策をとりまとめて実施している」企業は48.2%。「現在、対策をとりまとめるべく検討している」企業は11.7%で、合わせて約6割が積極的に取り組みを推進している。
具体的な対策としては、「リクルーターや採用担当者等を対象とする面談時等のルールの策定」(73.6%)が最も多く、「リクルーターや採用担当者等向けの研修の実施」(69.1%)、「ハラスメント行為者に対する処罰の明確化」(45.5%)などが挙げられた。
厚生労働省はハラスメント対策の強化に取り組んでおり、情報提供サイト「あかるい職場応援団」を通じて各種資料を提供。企業や労働者向けに「職場のハラスメント対策」「カスタマーハラスメント対策」「就活ハラスメント対策」などのリーフレットを発行している。
職場におけるハラスメント防止の必要性を伝えるとともに、関係法令をわかりやすく解説。対応方法や相談窓口の情報も提供し、企業の具体的な取り組みを支援している。
「ハラスメント防止対策に関するアンケート調査結果」(一般社団法人日本経済団体連合会) 「あかるい職場応援団」ハラスメント関係資料ダウンロードコーナー

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