ニュース
乳がんを簡単な血液検査で早期に発見
2013年01月23日

乳がんを簡単な血液検査で早期に発見できる方法を、カナダのアルバータ大学の研究チームが発見した。患者一人ひとりに合わせたテーラーメイド治療の実現につながる成果だとしている。
乳がんを、早い段階で発見する有効な方法としては、マンモグラフィと超音波検査を組み合わせる検査が一般的に行われているが、近い将来に血液検査で発見できるようになるかもしれない。 カナダのアルバータ大学の研究チームが、血液のDNAの遺伝子情報を調べることで、乳がんの再発を早期発見できる可能性があると発表した。 遺伝子異常はDNAの塩基配列が変化して本来のタンパク質を合成できないことをいう。乳がんを再発した女性では、特定の遺伝子異常が高い頻度でみられるという。 「乳がんの再発リスクを正確に予測できれば、乳がんの再発の可能性をみながら、患者一人ひとりに合わせたテーラーメイドの治療を行えるようになります。がんの再発を予防するための有効な方法を探す研究の進歩にもつながります」と、アルバータ大学クロスがん研究所のSambasivarao Damaraju氏は言う。 開発された検査キットは、乳がんに多いルミナルA型に対応したものだ。ルミナルA型は女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)受容体が陽性で、HER2受容体が陰性のものをいう。乳がんになる女性の半数以上はこのタイプだ。 ルミナルA型は、比較的悪性度が低いがんとされているが、がん再発によって命を落とす女性は少なくない。 研究チームは、前年に乳がんの治療を受けた369人の女性の血液サンプルを検査し、寛解にとどまった女性214人と、再発した女性155人とで比較した。特定の遺伝子異常が高い頻度で発見された。 この検査は顕微鏡による血液検査と同時に行えるので、乳がんの治療を改善する方法として期待できるという。「乳がんを早期発見する方法を確立できれば、抗がん剤を使わないで治療を行える症例を増やせます」と、研究者は述べている。 この研究の資金は、カナダ乳がん財団とアルバータがん財団によって提供された。 Breast cancer discovery could help doctors tailor treatment(アルバータ大学 2013年1月16日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年07月07日
- 子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
- 2025年06月27日
-
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】 - 2025年06月17日
-
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断 - 2025年06月02日
- 肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
- 2025年05月20日
-
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化 - 2025年05月16日
- 高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
- 2025年05月16日
- 【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
- 2025年05月12日
- メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
- 2025年05月01日
- ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】