ニュース
腰痛対策のウォーキングは効果がある
2013年04月02日
ウォーキングは腰痛のある人に勧められる効果的な治療法だ。「ウォーキングには臨床的な治療と同等の効果があります。費用もかかりません」と専門家は勧めている。
「もしあなたが腰に痛みを抱えているなら、理学療法士による治療を受ける以外に、もっと安価な治療法があります。それはウォーキングです。腰椎を支える腹筋と背筋を鍛えるウォーキングは、腰痛を改善するのに効果的です」と、イスラエルのテルアビブ大学のサックラー医学系研究科のマイケル キャツ-ルーレル博士は話す。 腰痛があれば「痛みが治まるまで安静にした方がよい」という考え方は多いが、最近では、長期間安静にしているよりも、むしろ身体活動を続けたほうがよいことがわかってきた。 欧米では、腰痛があっても"慢性化を防ぐためには、できるかぎり仕事や家事などを行って活動的でいよう"という考え方が一般的だ。 「慢性の腰痛の治療には理学療法が適しています。しかしそれは、腰痛の背後に重い病気が隠れている危険性がある場合です。専門の治療を急いで行う必要のある腰痛は、全体1割以下とみられています」とキャツ-ルーレル博士は説明する。 特別の装置を使い理学療法士の指導を伴いながら治療に比べ、ウォーキングはいつでも、どこでも始めることができ、費用もかからない。 研究チームは、腰痛をもつ52人の患者を無作為に、医療機関での標準的な治療を受ける群(標準治療群)と、週に2~3回のウォーキングや有酸素運動を行う群(ウォーキング群)に分けた。 ウォーキングは1回20分からはじめて、慣れてきたら40分に延長された。6週間後に、ウォーキングを続けたウォーキング群では、医療機関でのみ治療を続けた標準治療群と同等の治療効果を得られた。 なぜ腰痛には、長期間の安静が勧められないのか。安静を長く続けるうちに、"自分は腰に問題を抱えているので、腰を大事にしなければならない"という意識を強くもちすぎてしまうからだ。 しかし、安静は必ずしも有効ではなく、身体活動を維持した方が早い改善につながるという。ウォーキングなどの全身の運動によって、筋肉が鍛えられ、同時に心肺機能が高まり血流が良くなる。腰痛改善だけでなく基礎体力もつき、ストレス対策にもなる。 研究では、ウォーキングを続けた患者は、6分間の歩行テストで平均80メートル長く歩くことができるようになったという。 腰痛対策のウォーキングは、15~20分ほどから始めて、歩けるようになったら少しずつ距離を延ばしていくと効果的です。あせらずに、じっくり続けるのがコツです。専門家の指導を得られれば、より安全・効果的に行うことができます」と、キャツ-ルーレル博士はアドバイスしている。 An aerobic walking programme versus muscle strengthening programme for chronic low back pain: a randomized controlled trial(Clinical Rehabilitation 2013年2月)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「運動」に関するニュース
- 2023年08月28日
- わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
- 2023年08月28日
- 週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
- 2023年08月28日
- 高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
- 2023年08月21日
- 肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
- 2023年08月21日
- 「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
- 2023年08月15日
- 軽いウォーキングなどの低強度の運動でも脳を活性化できる 運動で高齢者の認知機能を維持・増進
- 2023年08月08日
- 若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
- 2023年08月07日
- 【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
- 2023年08月01日
- 肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要
- 2023年07月31日
- 歩きやすい環境に住む人はメタボ・肥満が少ない 運動・身体活動を促す地域環境をデザイン