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くるみを加えた地中海食が脳卒中と心血管のリスクを抑制

くるみ
 くるみには、ビタミンE、ビタミンB群、葉酸、マグネシウム、銅、亜鉛などのビタミンやミネラルをはじめ、食物繊維、メラトニン、良質な脂肪酸など、健康の維持・増進に必要な栄養成分が豊富に含まれる。

 脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられる。飽和脂肪酸は、動物性食品など多く含まれる脂肪酸で、高血圧や動脈硬化、炎症や原因となる。

 一方、不飽和脂肪酸は、動脈硬化の原因となる悪玉のLDLコレステロールを減らし、動脈硬化の防止に役立つ善玉のHDLコレステロールは減らさないという性質がある。

 くるみに含まれる脂肪の75%は、健康によい不飽和脂肪酸だ。不飽和脂肪酸はさらに、オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸などに分けられる。くるみにはオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の両方がバランスよく含まれている。

 ひとつかみのくるみ42g(1.5オンス)に、オメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸が3.8g、オメガ6系脂肪酸のリノール酸が16.2g、一価不飽和脂肪酸が3.8g含まれる。

オメガ3系脂肪酸:
α-リノレン酸、EPA、DHAなど。α-リノレン酸はEPA、DHAへと代謝される。コレステロール値、中性脂肪値を下げ、動脈硬化を防ぎ、血管を健康にする作用がある。そのほかにオメガ3系脂肪酸の効用として、心臓病、がん、脳溢血・脳卒中、糖尿病、高血圧、肥満など、いわゆる生活習慣病を改善する多様な効能が報告されている。

オメガ6系脂肪酸:
リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸など。リノール酸はγ-リノレン酸、アラキドン酸へと代謝される。血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる働きがあるが、過剰摂取はアレルギーなどの炎症と関係することから、適度な摂取が大切となる。

くるみを食べるとコレステロール値が改善 心臓発作や脳卒中を予防
 くるみを食べる習慣は、コレステロール値を改善して、心臓発作や脳卒中といった心血管疾患の予防に役立つことが、実際に研究で確かめられている。

 この研究は、米ハーバード大学のフランク フー氏らが、医学誌「The American Journal of Clinical Nutrition」に2009年に発表したもの。

 フー氏らは、血中脂質に対するくるみの効果を評価するために、過去に発表された13件の研究をメタ解析した。同じ食事内容で、くるみを食べた場合と、食べなかった場合(対照群)を比較し、365人のデータを調査した。

 13件の研究では、食事の総カロリーの10∼24%をくるみから摂取した食事を4∼24週間続けた結果を評価している。1日あたり2,000kcalの食事であれば、30∼70gのくるみを毎日食べたことになる。

 くるみを加えた食事をした群では対照群に比べて、総コレステロール値と、悪玉のLDLコレステロール値が大きく減少していた。平均で、総コレステロール値は10.3mg/dL低下し、悪玉コレステロール値は9.2mg/dL低下した。

 研究ではさらに、くるみが特定の抗酸化物と炎症マーカーに大きな便益をもたらしたことも発見した。また、体重の増加のような悪影響は全くないことも確かめられた。

 「くるみを毎日食べると、総コレステロール値とLDLコレステロール値が減少することが示されました」と研究者は述べている。今後、心血管系リスクと体重へのくるみの効果を評価するために、さらに大規模で長期間の臨床試験が必要だと付け加えている。

[保健指導リソースガイド編集部]
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