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子供の高血圧が増えている 米国では13年間で27%増加

 米国の子供の血圧は、この13年間で27%も増えている。肥満の増加と、塩分の摂り過ぎが原因だと、専門家は指摘している。日本でも子供の高血圧は増加傾向にあるという調査報告があり、肥満や生活習慣病をめぐる状況で先行している米国の最新動向は他人事ではない。

 米国の8~17歳の子供の高血圧が、この13年間で27%増えたことが大規模調査であきらかになった。体重と腹囲周囲径の増加と、塩分(ナトリウム)の摂り過ぎ、運動不足などが主な原因だという。この研究は、米国心臓学会(AHA)が発行する医学誌「Hypertension」に発表された。

 米国人は毎日、食塩を平均8.6g(ナトリウム相当量3,400mg)摂取している。これは、米国心臓学会が推奨する食塩相当量3.8g(同1,500mg)の2倍以上だ。ナトリウム摂取量の3分の2は小売店で販売されているジャンクフードフードや加工食塩などによるもので、4分の1はファストフードなどの外食からとみられている。
※日本人の食塩摂取量の平均は男性10.9g、女性9.4g(2011年国民健康・栄養調査)。

 高血圧は脳卒中や心臓病、腎臓病などの危険因子となる。「米国人の多くは塩分を摂り過ぎています。米国では多くの方が高血圧が原因で亡くなっていますが、塩分摂取量をコントロールすることで防げたはずの死亡数は、少なく見積もっても35万人に上ります」と、ハーバード大学医学部のバーナード ロスナー教授(公衆衛生・統計学)は話す。

 「自分が高血圧だと知らない人がたくさんいることが、高血圧をますます危険なものにしています。定期健診で血圧を定期的にはかり、高血圧を早期発見する必要があります。自分の最近の血圧値を常に覚えておくことが大切です」と、ロスナー教授は強調する。

 1回目の調査は、1988年~1994年に行われた米国民健康栄養調査(NHANES)に参加した8~17歳の子供3,200人を対象に行われた。また、2回目の調査は、1999年~2008年のNHANESの参加者8,300人を対象に行われた。

 その結果、2回の調査を通じて、子供たちの80%以上が1日に食塩を5.8g(ナトリウム相当量2,300mg)以上を摂取していることが分かった。

 太りすぎの子供は2回目の調査で特に増えており、腹囲周囲径も増えていた。男子と女子を比べると、女子の方が腹囲周囲径の増加が顕著だった。また、男子の方が高血圧の割合は多かったが、高血圧の増加率は女子でも高かった。

 体重と腹囲周囲径の年齢グループの上位25%にいた子供たちは、下位25%の子供に比べ、約2倍の割合で血圧が高かった。両調査ともに、ナトリウム摂取が最も多かった子供は、最も少なかった子供に比べ、36%血圧が高かった。

 20歳以上の成人は、標準血圧は通常は120/80mmHg未満だ。子供や10代の若者の血圧基準は、年齢・性別・身長によって異なる。研究では子供たちの「血圧が高めである」と指摘されているが、高血圧症の診断はされていない。子供の場合は高血圧症と診断するためには、血圧測定値で3回連続で高値が記録される必要があるからだ。

 多くの研究で、食事に含まれる過剰な塩分と高血圧の関連が示されている。子供と若者の塩分摂取量を減らせば、収縮期血圧(最高血圧)を平均1.2mmHg、拡張期血圧(最低血圧)を平均1.3mmHg下げることができると、研究者は指摘している。

Elevated blood pressure increasing among children, adolescents(米国心臓学会 2013年7月15日)

[Terahata]
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