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腎臓病の検査を4人に1人が受けていない 年1回の検査が必要
2013年07月23日

糖尿病有病者の4人に1人は腎臓病の検査を受けていないことが、英国糖尿病学会(Diabetes UK)による新しい調査で判明した。同学会は、腎臓病の検査を1年に1回以上受けるよう勧めている。
自覚症状がない場合でも腎臓の機能障害は進行する
「腎臓病は、症状がかなり進まないと自覚症状が現れません。治療をしないで腎不全に進行すると、人工透析が必要となります。透析になると心臓病や脳卒中の危険性も高くなります。透析の最大の原因は糖尿病腎症です。定期的な検査を受け早期発見し、腎臓病が進行しないようにすることが大切です」と、英国糖尿病学会のバーバラ ヤング氏は話す。
調査は、英国の国営医療サービス(NHS)が主導した、全国のクリニックを対象とした「英国糖尿病検査データ(National Diabetes Audit data)」の2010~2011年の結果をまとめたもの。
早期の腎症を発見するためには、微量アルブミン検査が有効だ。血糖コントロールが悪い状態が続くと、腎臓の糸球体が障害され、通常であれば漏れ出ないはずのタンパク質が、尿に出るようになる。
「微量アルブミン検査」は、微量のタンパク(アルブミン)を、感度のよい方法で尿から見出だす検査法で、糖尿病腎症の早期発見に有用だ。調査は、英国では25.0%が、ウェールズでは21.6%が、アルブミン検査を1年以上受けていないという結果になった。
腎臓の機能障害を見つけるための検査は、尿検査に加え、血液検査もある。広く行われているのは「血清クレアチニン値」だ。
クレアチニンは筋肉内で、アミノ酸の一種であるクレアチンがエネルギーを放出するときに生成される代謝産物。健康であれば、血液中のクレアチニンは腎臓の糸球体でろ過され、尿細管ではほとんど再吸収されずに尿中に排出される。腎臓の働きが悪くなると、尿中に排出されずに血液中に溜まっていく。
そのため血清クレアチニン値が高いということは腎臓の濾過や排泄がうまくいっていないと判断できる。
血糖と血圧のコントロールを続けることが肝心
「腎臓病はなかなか症状が現れず、自覚しにくいことが特徴です。そこで重要となってくるのが、定期的な検査と、日常的な体調管理の中で異変に気づくことです。糖尿病のある人はこの2つの検査を、少なくとも年に1回受けることが必要です」と、ヤング氏は強調する。
すでに英国の総合医の90%以上が、糖尿病患者を対象に定期的な尿の微量アルブミン検査を行っている。しかし、英国の糖尿病有病者数約300万人の内、85万人は診断を受けておらず、糖尿病の治療を受けていない。
腎不全に至り人工透析が必要となると、医療費は高くなり、政府は巨額の医療費負担を強いられるようになる。英国の医療費の10%は透析療法に費やされている。腎臓病は患者や家族だけでなく、政府にも大きな負担を強いる。
「慢性化してしまった腎臓病では、病気そのものを治すことは難しく、完治は期待できません。しかし、食事療法や薬物療法によって病気の進行を抑え、症状を改善できれば、腎機能を長持ちさせることができます」と、ヤング氏は強調する。
ヤング氏は血圧コントロールの重要さも指摘している。「腎臓の働きが悪くなると余分な塩分と水分の排泄ができなくなり、血液量は増加し血圧が上がります。さらに、血圧が上がれば腎臓への負担が増え、ますます腎臓の機能が低下するといった悪循環になります。したがって、腎臓の働きを守るために、血圧をコントロールすることはとても大切です」としている。
「腎臓病の検査は簡単に行えます。糖尿病有病者の4分の1が検査の機会を逃し、腎臓に障害が起きていても早期発見できないおれそがあります。もっとも肝心なことは、通院して治療を受け、血糖コントロールと血圧コントロールを続けることです」。
Quarter of people with diabetes not getting vital kidney check(英国糖尿病学会 2013年7月15日)
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