くるみはα-リノレン酸の優れた供給源 心血管疾患を予防

米ハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームは、27件の研究を系統的に評価し、合計25万1,049人の被験者を対象に、α-リノレン酸の摂取量と心血管疾患のリスクについて検討した。その結果、心筋梗塞などの心血管イベントは1万5,327件が報告されたが、α-リノレン酸を多く摂取していた人では発症が少ない傾向があることが分かった。食事に関する統合分析では、1日当たりのα-リノレン酸摂取量が1g増えるごとに、冠動脈疾患による死亡リスクが10%低下するという結果になった。
研究によるとα-リノレン酸には、コレステロール値を低下させ、血栓症に良い効果をもたらし、血管内皮機能を改善し、炎症を抑える働きがありそうだとしている。不整脈は脈拍が不規則になるなど異常があらわれ、心臓の血液の流れが悪くなる病気で、人によっては血栓ができやすくなる。α-リノレン酸には、直接的または間接的に不整脈を改善する作用もあると考えられている。
この研究は米国栄養学会が発行する「アメリカン ジャーナル オブ クリニカル ニュートリション」に2012年10月17日付けで発表された。
くるみにはα-リノレン酸以外にも、強い抗酸化力をもつ天然のビタミンEであるγ-トコフェロールなども含まれる。体に良い天然の脂肪酸がバランス良く含まれる食品であり、くるみ約28gに含まれる脂肪酸のうち2.5gは一価不飽和脂肪、13gが多価不飽和脂肪で、うち2.5gがα-リノレン酸だ。
心臓専門医のジェイムズ・ベッカーマン博士は、今回の研究はきわめて注目に値するもので、心臓の健康増進と致死的な心血管イベントの潜在的リスク低減のために、α-リノレン酸の豊富な食品をもっとたくさん食事に取り入れるべきだと提言している。
「一般的には魚由来のオメガ3脂肪酸と比べて、植物性のα-リノレン酸のほうが安く利用でき、多くの人にとって入手も容易です。今回の研究は心疾患と戦うための武器を増やし、生活に容易に取り入れられて安全で受け入れやすい食事介入という手段を与えてくれます」とベッカーマン博士は指摘している。
高齢化が進むにつれて増える心臓病への対応に必要なのは、1人ひとりの「自分の健康は自分で守る」という心構え。適切な食生活と運動を通じた予防が疾病の発生リスクを最小限にする鍵だ。
サラダやスープのトッピングはもちろん、麺類のタレなど、くるみは和洋中どんな料理にも合わせやすい。風味と食感を添えるくるみを日ごろから積極的に取り入れ、心臓病の多発する冬に備えてはいかがだろう。
- カリフォルニア くるみ協会
- α-Linolenic acid and risk of cardiovascular disease: a systematic review and meta-analysis(アメリカン ジャーナル オブ クリニカル ニュートリション 2012年10月17日)
- 公益財団法人 日本心臓財団
- 冬場は心筋梗塞による心停止が増加
国立循環器病研究センターの調査によると、心筋梗塞は10月から4月頃にかけての寒い時季に増える。 - 寒い時期は心筋梗塞に注意 予防のための10ヵ条を公開(糖尿病NET)


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