ニュース

ウォーキングに薬と同等の効果 プラス2000歩で心臓病リスクが低下

 血糖値の高い人は、適切な治療を行わないでいると、心血管疾患のリスクが上昇する。しかし、1日2,000歩のウォーキングを続ければ、心血管疾患のリスクを下げることができる。1日の歩数を4,000歩に増やせば、リスクはさらに低下する。
1日2,000歩で心血管疾患のリスクが8%減少
 耐糖能異常(IGT)のある人が、1日あたり2,000歩多く歩くことで、心血管疾患のリスクを軽減できるという研究が、医学誌「ランセット(The Lancet)」に発表された。

 研究には、世界40ヵ国の耐糖能異常(IGT)のある成人9,306人が参加した。耐糖能異常は、糖尿病と診断されるほどではないが、血糖値が高めの状態をさす。この段階でも動脈硬化ははじまっており、心臓病や脳卒中のリスクが高くなることが知られている。

 参加者は「生活スタイル改善プログラム」を受講し、体重コントロールや、高脂肪の食品を避け健康的な食事に取り組んだ。運動を習慣として行うようアドバイスを受け、毎日の歩数を記録できるよう歩数計も渡された。

 その結果、ウォーキングで毎日2,000歩多く歩いていた人では、実験開始から6年後に、心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが8%減少していた。ウォーキングは会話ができるくらいの通常の歩行と、やや活発な歩行を取り混ぜて、20分くらい行うと効果があるという。

 さらに、1日に4,000歩多く歩いていた人では、心血管疾患のリスクは16~20%減少した。脂質異常症の治療には、スタチンという治療薬が広く使用されている。スタチンは心臓発作や脳卒中のリスクを低減することが知られているが、4,000歩のウォーキングはスタチンと同等の効果があるという。

 「スタチンはよく使用されている薬ですが、残念なことに副作用はあります。しかし、ウォーキングには、腰や関節などの運動器がしっかりしていれば、副作用はありません。また、スタチンにはコレステロール値を下げる効果があるだけですが、ウォーキングにはより多くの好ましい効果があります」と、研究を主導した英レスター大学糖尿病研究ユニットのトーマス イエーツ氏は指摘する。

 「英国では成人の8人に1人は、心臓病のリスクが高いとみられています。血糖コントロールの不良が、その多くに影響しています。ウォーキングなどの運動は、血糖値を正常値に近づけるだけでなく、心臓病や脳卒中などのリスクも下げます。今回の研究では、どれぐらいのウォーキングがどれぐらいのリスク軽減につながるかということを数値化できました」(イエーツ氏)。

 1日に20分のウォーキングは、いつでもどこでも行える取り組みやすい運動だ。食後の昼休みなどの空いた時間を利用することもできる。毎日取り組めば、運動ガイドラインが推奨する"週に150分の運動"をクリアでき、慣れてくればウォーキングの時間を延ばすこともできる。

 「運動には高血圧や脂質異常症の改善の効果もあり、ストレス解消にも役立ちます。糖尿病の人は特にリスクが高いので、ぜひ今日からウォーキングに取り組んでください」と、英国糖尿病学会(Diabetes UK)のリチャード・エリオット博士はアドバイスしている。

An increase of just 2000 steps a day cuts cardiovascular disease risk by 8% in those with a high risk of type 2 diabetes(2013年12月20日 レスター大学)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「データヘルス計画」に関するニュース

2025年07月28日
日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月28日
1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
2025年07月28日
【妊産婦を支援】妊娠時に頼れる人の数が産後うつを軽減 妊婦を支える社会環境とメンタルヘルスを調査
2025年07月22日
【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
2025年07月22日
高齢者の社会参加を促すには「得より損」 ナッジを活用し関心を2倍に引き上げ 低コストで広く展開でき効果も高い 健康長寿医療センター
2025年07月18日
日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
2025年07月18日
「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
2025年07月14日
適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
2025年07月14日
暑い夏の運動は涼しい夕方や夜に ウォーキングなどの運動を夜に行うと睡眠の質は低下?
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶