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一滴の血液でアルツハイマー病を診断 愛知県などが開発
2014年01月30日
愛知県は、独自の半導体イメージセンサを用いて血液や尿に含まれる成分を簡単・迅速に検査する技術を確立したと発表した。開発したセンサでアルツハイマー病の原因となるアミロイドβペプチドの検出に成功した。今後は早期予知までを可能にする技術の実用化を目指している。
高感度のイメージセンサを開発
愛知県は、大学などの研究シーズを企業の製品化・事業化につなげる産学行政連携の共同研究開発プロジェクト『「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト』を推進している。今回発表したのは、そのひとつの「超早期診断技術開発プロジェクト」の成果で、国立長寿医療研究センターの滝川修 認知症先進医療開発センター室長と、豊橋技術科学大学の澤田和明 教授らが中心となり開発した。
年々増加する医療費の削減は日本の課題のひとつとなっているが、そうした解決策として安価かつ迅速に検査を行える方法の確立が求められている。血液採取が簡便にできるようになれば、在宅で誰でも検査が可能になり、病気の日常管理や事前診断などの実現に効果をもたらすと考えられている。
しかし、従来の検査方法は、ある程度まとまった量の血液を、専門的な知識を持つ検査員が採取し、それを高価な検査装置にセットするといった手順などが必要であり、簡単に自宅でというわけにはいかなかった。また病気の初期段階では高度な検査感度が求められており、病気を見落とす可能性も指摘されていた。
研究成果はこうした課題を解決するもので、従来技術と同様の抗原抗体反応を利用しつつ、反応時に発生する微小な電位の変化を半導体イメージセンサで感知し測定する。発色度合を測定していた従来技術に比べ、検査時間の大幅な短縮と高感度を実現した。
この技術を活用することで、患者は自宅で採血用穿刺器具を用い微量の血液を採取し、血液をセンサの血漿分離膜に載せるだけで、あとは装置が10分程度で抗原抗体反応による電位変化を検出してくれ、結果はスマートフォンなどに表示される。
半導体イメージセンサは128×128ピクセル(1万6384マス)で構成されており、各マスで別々の抗原抗体反応を行うことが可能なため、複数の病気の検査を同時に行うことも可能となった。さらにセンシング部では、抗体を取り付けたマイクロビーズを用いることで、抗体を平らに並べるよりも取り付け面積を増やすことが可能となり、抗原抗体反応の感度向上を実現した。

国立長寿医療研究センター
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