ニュース

夫婦がともに糖尿病に 糖尿病の発症しやすさは家族に伝染する

 「夫が糖尿病」、「妻が糖尿病」という人は注意が必要だ。「配偶者が2型糖尿病であると、自身が糖尿病を発症する可能性が高い」という研究が発表された。「健診を定期的に受けることが大切」と、研究者は注意を呼びかけている。
夫婦は糖尿病になりやすい生活スタイルを共有している
 糖尿病の発症には「遺伝因子」と「環境因子」が関わっている。家族や肉親が糖尿病だと、糖尿病の家族歴がない人に比べて糖尿病を発症しやすいことが知られている。遺伝するのは糖尿病そのものではなく、「糖尿病になりやすい体質」だ。

 一方、血縁関係のない夫婦であっても、2型糖尿病を発症しやすい生活スタイルを共有している場合が多い。食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢、ストレスなどの環境因子を、夫婦が共通してもっている。

 研究チームは、米国、英国、スウェーデン、中国などで行われた6件の研究を解析し、7万5,498組のカップルを対象に、糖尿病の発症と社会的環境、経済的環境との関連を調査した。

 その結果、配偶者が2型糖尿病であると、自身が糖尿病を発症する割合が26%上昇することが判明した。この研究は医学誌「BMCメディスン」に発表された。

 「もしあなたの配偶者が2型糖尿病であるなら、あなた自身が糖尿病を発症する可能性があります。糖尿病の配偶者をもつ人は、糖尿病を発症する割合が上昇することが、調査で確かめられました」と、カナダのマックギル大学健康センターのカベリ ダスグプタ氏はいう。

 糖尿病患者を診療する医師は、家族に糖尿病の人がいるかを尋ねることが多い。2型糖尿病の発症には、多くの場合で遺伝因子が関連しているからだ。「これに加えて、配偶者が糖尿病であるかを尋ねる必要があるかもしれない」と、ダスグプタ氏はいう。

 糖尿病の治療には、食事や運動などの生活スタイルの改善が不可欠だ。患者にとっては、日常生活を変えることにチャレンジする必要がある。配偶者が糖尿病に対する理解をもっていれば、治療に取り組みやすくなる。

 夫婦で生活スタイルの改善に取り組めば、一人で始めるよりも、いっそう大きな効果を期待できる。

 ダスグプタ氏は、糖尿病を早期発見し、コンディションを改善するために、夫婦が一緒に健診を受けることを勧めている。

 「配偶者の糖尿病発症は、夫婦で生活スタイルの改善に参加してもらうきっかけになります。配偶者が糖尿病であるという人は、健診のチャンスを逃さないようにし、定期的に検査を受けることが重要です」と、ダスグプタ氏は強調している。

Diabetes: We are in it together(マックギル大学 2014年1月22日)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年07月07日
子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
2025年06月27日
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】
2025年06月17日
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断
2025年06月02日
肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
2025年05月20日
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化
2025年05月16日
高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
2025年05月16日
【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
2025年05月12日
メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
2025年05月01日
ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶