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米国と英国で糖尿病が爆発的に増加 3人に1人が糖尿病予備群
2014年06月19日

糖尿病と糖尿病予備群の数は世界的に増加している。米国と英国の成人の3分の1以上が糖尿病予備群で、米国では「国民の5人に1人」が糖尿病を発症すると予測されている。
米国の糖尿病有病率は9.3% 4分の1が未診断
米国の2012年の調査によると、糖尿病有病数は2,900万人を超え、全人口の9.3%が糖尿病と推定されている。うち4分の1に相当する810万人が糖尿病と診断されておらず、治療も受けていない。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、糖尿病有病数は2010年の調査よりも300万人増えた。2012年に新たに糖尿病と診断された人の数は170万人だった。
さらに、20歳以上の3人に1人以上(37%)に相当する8,600万人が、糖尿病と診断されないが血糖値が正常値よりも高い「糖尿病前症」(Prediabetes)だ。その割合は、65歳以上の人の51%に相当するという。
糖尿病前症の人は、食事を見直して、運動を習慣として行い、体重を減らす対策をしないでいると、15~30%が5年以内に2型糖尿病を発症するとみられている。
子供や若者の糖尿病も増えている。年間に1型糖尿病と診断された患者数は1万8,436人で、2型糖尿病は5,089人だった。
2025年までに5人に1人が糖尿病を発症
糖尿病は、高血糖によってさまざまな合併症が引き起こされる「進行性の」病気だ。適切な治療を行わないでいると、心臓病、腎臓病、失明、下肢の切断など、深刻な健康上の問題が引き起こし、患者の生活の質(QOL)を著しく悪化させる。CDCによると、糖尿病は米国で7番目に死亡数の多い病気だ。
「有効な対策を行わず、このまま糖尿病有病者と予備群の数が増え続けると、2025年までに国民の5人に1人が糖尿病を発症することになります。そして2050年には3人に1人が糖尿病という事態になります」と、CDCの糖尿病部門のディレクターであるアン オルブライト氏は言う。
「健康な生活スタイルを選択することが、糖尿病を予防・改善するための最善の策であることは明らかです。食事や運動を見直すことは、糖尿病を指摘された全ての人に勧められます。飲み薬やインスリンなどによる治療法も進歩しています。糖尿病を早期に発見し、治療を中断しないことが望まれます」と、強調している。
糖尿病による経済的な負担も深刻で、2012年の米国の糖尿病の医療費は18.2兆円(1790億ドル)に上り、糖尿病による経済的な損失も合わせると、年間24.9兆円(2450億ドル)が失われているという。
英国の糖尿病有病率は7.3% 健診で早期発見
英国でも糖尿病は増加している。英国民保健サービス(NHS)の調査によると、英国では320万人が糖尿病と診断されており、85万人が治療を受けていないという。
英国の2012年の糖尿病有病率は7.3%で、2030年までに8.8%に上昇するとみられている。
英国では、かかりつけ医師(GP:General Practitioner)が、あらゆる疾患の初期診察、治療を行う制度が確立している。
GPの指導のもと、国営健康保険に加入している40~74歳の人が血液検査などの健診を受けられる「NHSヘルスチェック」が普及しており、年間に130万人が健診を受けている。
英国では成人の35.3%が糖尿病前症とみられている。糖尿病前症を早い段階で発見し、食事や運動などの生活スタイルを見直し、肥満を是正することで、2型糖尿病の発症を防ぐことができる。
NHSによると、健診制度のおかげで年間4,000人の糖尿病と、1,600人の心筋梗塞と脳卒中を予防できているという。
Statistics About Diabetes(米国糖尿病学会 2014年6月10日)"Third of adults in England" have pre-diabetes(英国糖尿病学会 2014年6月10日)
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