ニュース

政府が「健康・医療戦略」案を発表 日本版NIH設立を前に医療改革

 政府は来年4月に、複数の省庁にまたがっている医療の研究開発予算を一元的に管理し、大学や研究所に配分する司令塔となる独立行政法人「日本医療研究開発機構」を来年4月に設立する。
 いわゆる「日本版NIH」の体制が整うのを前に、このほど新たな「健康・医療戦略案」(新戦略)をまとめた。

 新戦略の具体的な施策は、下記の4つに分けられている。国民の「健康度」を高めることで、日本が医療福祉先進国として世界をリードすることを目指す。

(1)世界最高水準の医療の提供に資する医療分野の研究開発等に関する施策
(2)健康・医療に関する新産業創出および国際展開の促進等に関する施策
(3)健康・医療に関する先進的研究開発および新産業創出に関する教育の振興・人材の確保等に関する施策
(4)世界最先端の医療の実現のための医療・介護・健康に関するデジタル化・ICT化に関する施策

「メタボ健診」受診率を80%に引き上げ
 新戦略では、今後10年程度を視野に入れて2014年度から5年間に取り組む施策と、達成すべき成果目標(KPI)を示した。

 日本は平均寿命が男性79.94歳、女性86.41歳(2012年現在)なのに対し、健康寿命は男性70.42歳、女性73.62歳(2010年現在)にとどまる。政府は、健康寿命を2020年までに今より1年以上延ばすことや、「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」の人の割合を25%減らす目標を掲げた。

 さらに、メタボリックシンドロームの人の割合を、2020年までに08年度比で25%減らすことも打ち出した。メタボの該当者は予備軍も含めると2008年度で1,400万人と推計されている。

 このため、40~74歳を対象とした特定健診(メタボ健診)の受診率が12年現在で46.2%と低率であることから、80%に引き上げるとの数値目標も明記した。

世界最高水準の医療提供が目標
 新戦略では、基礎から実用化にいたる一貫した研究開発を推進し、その成果を円滑に実用化することで、世界最高水準の医療提供を目指している。

 具体的には、
・ 日本発の革新的ながん治療薬を作り出すため、今後5年以内に革新的ながん治療薬を10種類以上、治験に結び付ける
・ iPS細胞(人工多能性幹細胞)技術で作製した新規治療薬の臨床応用を2020年ごろまでに開始
・ 日本発の認知症、うつ病などの精神疾患の根本治療薬の治験を始める
・ 2030年までにインフルエンザに対する万能ワクチンの開発を目指す
・ 医療機器の輸出額を1兆円に倍増
などとしている。

循環型研究開発を推進
 世界最高水準の医療を提供できる研究開発を支援するためには、基礎的な研究開発から実用化のための研究開発までの一貫した研究開発を推進する必要がある。

 基礎研究を強化し、画期的なシーズが常に生み出されることが、医療分野の研究開発を持続的に進めるためには必要となる。このため、基礎研究の成果を臨床現場につなぐ方向に加え、臨床現場で見出した課題を基礎研究に戻す「循環型研究開発」を推進するとしている。

 このほか、大学、研究機関、医療機関、企業などと医薬品医療機器総合機構(PMDA)との連携を強化し、薬事戦略相談制度の拡充や、研究開発を充実させる必要性を示した。

 医療や介護、健康分野の包括的なICT化に向けた施策も提示。効率的で質の高い医療サービスの実現を目指すため、レセプトデータに加え、これまで活用されていない検査データなども標準化して関係者の間で共有し、現場に還元されることが求められるとした。

健康・医療戦略推進本部(首相官邸)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
2025年01月23日
高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
2025年01月14日
特定健診を受けた人は高血圧と糖尿病のリスクが低い 健診を受けることは予防対策として重要 29万人超を調査
2025年01月06日
【申込受付中】保健事業に関わる専門職・関係者必携
保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2025年版」
2024年12月24日
「2025年版保健指導ノート」刊行
~保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳です~
2024年12月17日
子宮頸がん検診で横浜市が自治体初の「HPV検査」導入
70歳以上の精密検査無料化など、来年1月からがん対策強化へ
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶