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5つの「健康習慣」で心臓病を予防 年齢を重ねた人でも「遅くない」
2014年07月11日

健康な生活習慣をもっている人ほど、心臓病を発症する危険性を減らすことができることが、20年にわたる研究調査で明らかになった。
「40歳を過ぎて、不健康な生活スタイルをもっていると、心臓病を発症する危険性が高まります。ひとつでも改善すれば、リスクを減らすことができます」と、ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のボニー スプリング教授(予防医学)は強調している。
心臓病を予防するための5つの「健康習慣」
スプリング教授が勧める5つの「健康習慣」は次の通り――
1 適正体重を維持する健康な体重を維持するには、バランスのよい食事に加えて、適度に運動をすることが大切だ。 2 たばこを吸わない
喫煙は百害あって一利なし。たばこを吸っている人は、1日も早く禁煙しよう。 3 30分ほどの適度な運動を週に5回行う
運動することで、エネルギーの摂取量と消費量のバランスが改善される。運動は、加齢にともなう筋肉の減少や、骨粗鬆症の予防にも効果的で、ストレス解消にもつながる。 4 アルコールを飲み過ぎない
お酒は適量であれば、人間関係を円滑にしたり、ストレスの発散や、血行の促進、HDLコレステロールの増加などの効用をもたらす。しかし、飲み過ぎが毎日続くと、肝臓や膵臓の疾患、糖尿病、高血圧、高尿酸血症、がんなどさまざまな病気の原因になる。 5 健康的な食事をこころがける
野菜や果物を十分にとり、ビタミンやミネラル、食物繊維が不足しないようにしよう。塩分の摂り過ぎにも注意。 年齢を重ねた人でも"生活スタイルを改善するには遅すぎる"ということはない。40歳を過ぎるまで不健康な生活が続いたという人でも、生活スタイルをひとつでも改善すれば、心臓や血管の健康を保ちやすいことが示された。 「逆に、不健康な生活スタイルを全く改善できなければ、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患や脳卒中の危険性は上昇します」と、スプリング教授は強調している。
取り組みやすいことから改善すると効果的
心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患は、動脈硬化が起こり、冠動脈の内部が狭くなったり閉塞したりして血液の供給が不十分になることによって起こる。健康な人の動脈には弾力性があり、やわらかく、内壁もなめらかで血液はスムーズに流れているが、動脈硬化が起こると、動脈が硬く狭くなり、血液が流れにくくなる。
早期発見するために、心臓CT検査により画像診断が行われる。CT検査により、冠動脈の内腔の大きさや、動脈硬化による冠動脈壁の石灰化、アテローム性動脈硬化症などが分かる。
研究チームは、18~30歳の男女3,538人を20年間、追跡して調査し、生活スタイルと動脈硬化の関連を調べた。5つの「健康習慣」をどれだけ実行しているかを調査した。
調査の開始時に5つを全て実行しているという人は10%未満だった。20年間で健康習慣の実行数が「増えた」という人は25%、「変わらない」という人は34%、「減った」という人は40%だった。
健康習慣の実行数が減るほど、動脈硬化が進行しやすくなり、心臓病のリスクが上昇することが示された。
生活スタイルを20年間変えなかった人の20%で、心臓病の初期徴候が示された。それに対して、健康習慣を「3~4つ増やした」という人は、心臓病のリスクが5%に抑えられていた。逆に、「3~4つ減らした」という人では、リスクは32%上昇していた。
「健康習慣を増やした人ほど、動脈硬化が抑えられていました。年齢が高くなってから生活習慣を増やしても、十分に効果を得られることが確かめられました」と、スプリング教授は説明している。
「もっとも重視するべき健康習慣は、"たばこを吸わないこと"と"適正体重を維持すること"です。これらは取り組みやすく、結果が目に見えて分かりやすいというメリットがあります。健康にもたらす効果も大きいのです」と指摘している。
Scientists Find Heart Disease Can Be Reversed by Adopting Healthy Habits(ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部 2014年6月30日)
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