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がん精密検査 市区町村検診で受診率が向上 保険者や事業者では低迷

 がん検診は、日本では1950年代後半から一部の先駆的な地域における保健活動として開始され、1982年から実施された老人保健法に基づく保健事業によって全国的な体制が整備された。その後、法律に基づかない市町村事業として実施された時期を経て、2008年度より健康増進法に基づく市町村事業と位置づけられた。

 2012年に制定されたがん対策推進基本計画では、がん検診の受診率を5年以内に50%(胃、肺、大腸は当面40%)とすることが目標とされた。また、都道府県のがん対策推進計画においても、全ての都道府県でがん検診の精度管理についての取組や受診率の目標について記載されており、国・都道府県ともに受診率向上に向けた取組みが求められている。

 国民生活基礎調査によると、2013年の段階では、がん検診の受診率は男性では3~5割と向上しているが、女性では3~4割で目標に届いていない。胃がんで45.8%(男性)、33.8%(女性)、肺がんで47.5%(男性)、37.4%(女性)、大腸がんで41.4%(男性)、34.5%(女性)、子宮頸(子宮頸がん)がんで32.7%、乳がんで34.2%だった。

がん「精密検査」の受診は低調
 厚生労働省研究班によると、2011年度に全国の市町村が行うがん検診(乳、子宮頸、大腸、胃、肺)を受診したのは、のべ約2,600万人で、うち「要精密検査」と判定されたのは、のべ約140万人だった。このうち、実際に精密検査を受けたことが確認されたのは、乳がんで84%、胃がんで81%、肺がんで78%、子宮頸がんで68%、大腸がんで63%だった。

 市町村が行うがん検診で「精密検査が必要」と判定された人のうち、精密検査を受けたことが確認できた人の割合(精検受診率)は、胃がんで2007年の75.2%から2010年の81.1%、大腸がんで55.5%から63.6%、肺がんで70.6%から77.7%、乳がんで79.6%から83.5%、子宮頸がんで60.3%から66.2%と改善傾向にはあるが、大腸がんと子宮頸がん検診ではいまだ許容値(70%)を下回っている。

 厚労省は「がん検診の受診率は伸びているが、精密検査が必要な患者が放置されていては意味がない」として、精密検査の重要性を強く呼びかける方針だ。

チェックリストを満たしている市区町村が増加
 日本消化器がん検診学会の全国集計によると、市区町村が実施した大腸がん検診における精密検査受診率は70%であるのに対し、保険者や事業者が実施した大腸がん検診における精密検査受診率は30%だった。

 がん検診システムが適正に運用されているかを確認するためのチェックリストの主な項目を8割以上充足している市区町村の割合は、胃がんで2007年の57.9%から2012年の67.1%、大腸がんで53.6%から63.9%、肺がんで50.8%から66.3%、乳がんで55.7%から67.7%、子宮頸がんで54.8%から66.4%と10~15%程度の向上がみられる。

 受診率をさらに向上させるために、対象者個人に対する個別受診勧奨・再勧奨(コール・リコール)をはじめ、検診受診の利便性向上に向けた取組み、PR活動などを組み合わせることが重要としている。実際には個別受診勧奨を実施している市区町村は5~6割程度であり、再勧奨を実施している市区町村は2~4割程度に留まっている。

 一方、がん検診を受診している人の4~5割が被用者保険の保険者や事業者が実施するがん検診を受診しており、保険者や事業者によるがん検診は重要な役割を担っている。がん検診は継続的に受診することで効果を期待できるものであり、受診率向上に向けた取組には、長期的視点に立った検討が必要となる。受診者に対して精密検査の重要性まで含めたがん検診の普及・啓発を行うなど、精度の向上が求められている。

第44回がん対策推進協議会(厚生労働省)
がん検診マネジメント 科学的根拠に基づくがん検診推進(国立がんセンター)

[Terahata]

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