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アルコールを飲み過ぎないために 事前に知っておきたい対処法
2014年12月16日

年の瀬がせまり、忘年会にクリスマス、新年会などのイベントが続くこれからの時季は、お酒を飲む機会が増える。ついつい飲みすぎてしまったり、翌日に「二日酔い」で辛い経験をしたという人も多いのではないだろうか。
しかしお酒の怖さは「二日酔い」だけではない。お酒は適量の場合はストレス解消の効果を期待できるが、量が増えると確実に健康を損なう原因になる。
しかしお酒の怖さは「二日酔い」だけではない。お酒は適量の場合はストレス解消の効果を期待できるが、量が増えると確実に健康を損なう原因になる。
お酒は高カロリー 肥満の原因に
アルコールに含まれるカロリーは1gあたり7kcalで、脂肪の9kcalに次ぐ高カロリーの食品だ。カロリーの他の栄養成分はほとんど含まれない(非蒸留酒には糖質が含まれる)。
初めは「少し」と思っていても、つい飲み過ぎてしまうのがお酒だ。さらに、アルコールには食欲を高める作用もあり、食べ過ぎて肥満の原因になる。
アルコールを飲み過ぎないための対処法
アルコールに強い体質かどうかは遺伝によって決まり、日本人は4~5割程度がお酒に弱い遺伝子をもっているとされる。下戸にとっては宴席で何を飲むかというのは、切実な問題だ。
お酒を飲むときの注意点・ 自分の適量を知るとともに、その日の体調にも注意する。
・ お酒を控えていたり、飲めない体質の人は、周囲の人に「自分はお酒を飲めない」ことを事前に伝えておく。
・ ビールやウイスキーの水割りに色が似ているウーロン茶やノンアルコール飲料を上手に利用する。
・ 短時間の多量な飲酒(一気飲み)を避ける。
・ 飲酒の無理強いは受け付けない。
純アルコール量で約20gが限度
厚生労働省の指針では、1日のアルコール摂取量の目安を、純アルコール量で約20g程度だとしている。これをアルコール飲料に換算すると、ビールは中びん1本(500mL)、日本酒は1合(180mL)、焼酎0.6合(約110mL)、ウイスキーはダブル1杯(60mL)、ワイン1/4本(約180mL)、缶チューハイ1.5缶(約520mL)となる。
アルコール健康医学協会によると、血液中のアルコール濃度0.02~0.04%なら「爽快期」で、さわやかな気分になれる。このときはまだ、皮膚が赤くなったり、陽気になったりする程度だ。0.05~0.10%は「ほろ酔い期」。体温が上がり、脈が速くなったりする。
酔いが進むと次第に、理性をつかさどる大脳皮質の活動は低下していく。0.11?0.15%の「酩酊初期」では、気が大きくなって大声を出し、怒りっぽくなる。さらに、0.41?0.50%の「昏睡期」になると、マヒ状態は脳全体に及び、呼吸困難を引き起こす可能性もあるという。
一般的に、純アルコール量で約20gを限度とするのが上手なお酒の飲み方といえる。これは、「爽快期」を維持して酒を楽しみ、酒量が増えたとしても「ほろ酔い期」でとどめておける量だ。
体重約60kgの人が日本酒にして2合のお酒を30分以内に飲んだ場合、アルコールは約3~4時間体内にとどまる。それより多い量のお酒を飲むと、アルコールが体内から消失するまで約6~7時間かかる。
これには個人差があるため、体質的にお酒に弱い人や女性はもっと長い時間がかかる。深夜まで飲んでいると翌朝起床後まで体内にアルコールが残っているため、二日酔いになってしまう。
お酒の飲み過ぎはがんや脳卒中、高血圧の危険性を高める
お酒を飲み過ぎると、がんを発症するリスクが上昇することが、約2万人を対象に行われた国立がん研究センターの大規模研究「JPHC研究」で明らかになった。
アルコール摂取量が日本酒にして「1日平均2合以上3合未満」の人は、お酒を飲まない人に比べて、がんの発生率が1.4倍に上昇する。飲酒量が1日平均3合以上に増えると、がんのリスクは1.6倍に上昇するという。
その原因となるのが「アセトアルデヒド」だ。アルコールは肝臓で代謝されてアセトアルデヒドになり、最終的に水と炭酸ガスに分解される。アセトアルデヒドには毒性があり細胞を傷つけるので、がんの発生率が高まると考えられている。
アルコールの飲み過ぎは、脳卒中のリスクを高めることも分かっている。アルコール摂取量が「1日平均3合以上」の人は、「ときどき飲む」人に比べて、脳卒中が起こるリスクが1.6倍に上昇する。
アルコールは高血圧の原因にもなる。アルコールを飲むと、アセトアルデヒドが血液中に増加し一時的に血圧が少し下がるが、その血中濃度が下がると血圧は上がっていく。
アルコールには食欲を亢進する作用もある。アルコールには、食欲を抑制するホルモンであるレプチンを減少させる作用がある。レプチンが視床下部にある満腹中枢に作用して食欲を抑える。飲酒量が多い人では、レプチンの濃度が低下する傾向がみられる。
連日の宴会に疲れ果ててしまうという人も多い時季だが、今年はお酒と上手に付き合いながら締めくくり、最高のコンディションで来年を迎えたい。
多目的コホート研究(JPHC Study)(国立がん研究センター)
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