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妊娠初期の過度な運動は腰痛を悪化させることが判明
2015年01月07日
妊娠初期の急激な運動量の増加は腰痛の悪化を引き起こすことが、医療法人葵鐘会と京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻(青山朋樹准教授)が共同で行った研究で明らかになった。
妊娠初期に急激に運動量を増やすと腰痛に悪影響
腰痛は出産前後における妊婦の心身を疲弊させる大きな要因で、妊娠中のみならず産後も継続しやすいことが知られているが、胎児への影響を考慮した十分な処置がなされていない現状がある。
一方で、妊娠中の運動は、妊娠性糖尿病などの病気の予防につながるのに加え、マタニティーブルーズ(妊娠性うつ)の改善や、腰痛改善にも効果的であることから注目されている。
そこで、研究グループは妊婦における腰痛と運動量に焦点をあてた調査を行った。調査では、妊婦の日常の歩行量と腰痛の関連性を検討するために、腰痛持ちの妊婦35名に歩数計を配布し、妊娠期間を通して日常の歩行量および腰痛症状について記録紙を用いて調査した。
調査終了時、腰痛が生じた妊婦は、妊娠初期に歩行量が平均3,600歩から4,800歩へと大きく増えたが、妊娠後期に近づくと平均3,300歩まで減っていたことがわかった。一方、腰痛が生じなかった妊婦は、安定期に入った妊娠期中頃に歩行量が平均3,400歩から3,700歩へと徐々に増え、その後も4,800歩を経て4,400歩を維持しながら活動していた。
腰痛のない妊婦と腰痛のある妊婦の妊娠期間における1日の歩行量の推移
この結果を受け、「妊娠初期に急激に活動量を増加させることは腰痛に悪影響であることが明らかとなった。身体への負担が大きくなり始める妊娠初期には、負担の少ない動作を推奨する必要がある」と研究チームは述べている。
具体的には、1,000歩は約10分間のウォーキングに相当するので、妊娠初期には妊娠前の生活習慣も考慮しながら、約30分のウォーキングを目安に運動指導を実施することが効果的だという。
研究チームは、今後は妊娠中の腰痛の原因となる骨盤のゆがみや姿勢の変化なども含めて、より包括的かつ詳細な調査を行う予定だ。
医療法人葵鐘会
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