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65歳以上の認知症は10年後に730万人に増加 5人に1人が認知症に
2015年01月09日
認知症の高齢者は、団塊の世代が全て75歳以上となる10年後の2025年には、最大で730万人に達し、高齢者のおよそ5人に1人に上るとの推計を厚生労働省の研究班がまとめた。
認知症高齢者数 2060年には850万人に増加
調査は、九州大学が福岡県久山町で1961年から続けている住民の健康診断データなどをもとに、厚労省研究班が各年齢層の認知症有病率を算出し、2060年までを推計したもの。
その結果、高齢化に伴い、認知症高齢者数も上昇。団塊の世代が全員75歳以上になる2025年には675万人に、2060年には850万人に達することが分かった。
別の研究班が2012年時点で推計した462万人より大幅に増え、10数年で1.6倍に急増し、高齢者のおよそ5人に1人に上る見通しだ。
認知症になる割合は年齢とともに高くなることから、研究班が団塊の世代がすべて75歳以上となる10年後の2025年での割合を新たに推計したところ19%となり、推計人数は675万人となった。
九州大学の調査では、糖尿病があるとアルツハイマー型認知症になる危険性が約2倍に上昇することが分かっている。糖尿病の増加に伴い、認知症の有病率が上がった場合についても推計。それによると、認知症高齢者は25年に730万人とさらに増加した。
認知症の国家戦略を近く正式決定
政府は同日、認知症施策を総合的に進めるための国家戦略を、近く正式決定する方針だ。政府が2013年度からはじめた現行の「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」を発展させ、厚労省、文部科学省、警察庁、消費者庁など12省庁が横断的に取り組む。
医療・介護の専門職でつくる「認知症初期集中支援チーム」も設置する。オレンジプランでは、早期診断に必要な研修をかかりつけ医5万人に受講してもらう目標を掲げたが、新たな戦略では、これを6万人に引き上げる。
認知症について学び、理解を深める「認知症サポーター」の2017年度末の目標数を600万人から800万人に上積みする。
65歳未満で発症する若年性認知症は2009年時点で推計約3万8,000人。家族らを抱える現役世代を支援するため、都道府県に相談窓口を設けて担当者を配置、交流の場づくりや就労支援も進める。
歯科医師や薬剤師など幅広い医療従事者にも診察時や服薬指導の際に症状に気づいてもらうよう研修を実施。介護職員向けには、−−認知症の状態に応じた適切なケアが可能となるよう、最低限必要な知識・技能を学べる研修制度を創設する。
増え続ける認知症の人への対策を急ぎ、治療薬の研究開発を推進する必要もある。新たな戦略案では、要介護状態になっても「認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」ことを基本的な考えとして明記した。
九州大学大学院 医学研究院 環境医学分野
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