ニュース
ウォーキングの目標を達成 仲間と助け合うことが成功への近道
2015年02月04日

ウォーキングをグループやパートナーと一緒に行うと、より健康増進の効果を高められることが判明した。互いに助け合い、励まし合う協調的な関係を築くことで、目標を達成しやすくなるという。
グループで歩くとよりアクティブになり検査値も改善
ウォーキングには、高血圧や高コレステロールを改善したり、心肺機能を高めるなど、さまざまな利点がある。グループでウォーキングに取り組むと、これらの効果をいっそう高められるという研究が発表された。
英国のイースト アングリア大学の研究チームは、14ヵ国の平均年齢58歳の男女1,843人を対象とした42件の研究を解析した。検証したグループ・ウォーキングの総時間は7万4,000時間に及んだ。
その結果、グループ・ウォーキングに取り組んだ人は、安静時の心拍数、血圧、コレステロール値が下がり、自分の健康に対する満足度、メンタルヘルス、身体活動などがより向上していたことが分かった。体格指数(BMI)や体脂肪、肺活量、抑うつ度などの検査結果も改善していた。
「ウォーキングを続けて身体活動量を増やし、健康増進につなげようという、共通の目的をもつことでグループが結束します。孤立化を防ぎ、互いに励ますことが有益に働きます。参加者の4分の3はウォーキングを継続する意欲をもっていることも分かりました」と、イースト アングリア大学のサラ ハンソン氏は言う。
グループで歩くことでよりアクティブになり、歩きにくい道を避けたり、つまずく頻度が低くなったり、 膝をひねった時の損傷が少なくなるなどのメリットもあることも分かった。
解析対象には、肥満、2型糖尿病、心臓病、関節炎、抑うつ、パーキンソン病など、さまざまな慢性疾患を抱えている人たちが含まれていた。「グループ・ウォーキングであれば、健康に不安のある人でも安心して取り組めます。さまざまな利点をもたらすのに加え、費用もかかりません」と、ハンソン氏は指摘する。
英国では、がん患者を対象とした「ウォーキング・フォー・ヘルス」という全国規模のイベントが開催され、約7万人のウォーカーと約1万人のボランティアが参加している。「誰でも参加できるウォーキングの行事をあらゆる世代に拡大するべきです」としている。
パートナーと一緒に取り組むと運動を続けやすくなる
「毎日運動をする」「体重を5kg減らす」「禁煙する」といった目標をもっているのなら、同じ目的をもつパートナーと一緒に取り組むと成功に導きやすい。
「生活スタイルをより健康的に変えていく」という共通の目標をもっている夫婦は、実際に成功しやすいことが、英国のユニバーシティ カレッジ ロンドン(UCL)の研究で明らかになった。
研究チームは、一緒に暮らしている50歳以上の3,722人のカップルを4年間追跡して調査し、生活スタイル改善の取り組み状況や目標達成度を調べた。
その結果、目標達成に協力的なパートナーのいる男性では、「運動の習慣化」「減量」「禁煙」に成功した割合がそれぞれ67%、26%、48%に上った。成功率は、パートナーが不健康な生活スタイルをもっていた場合に比べ、それぞれ2.6倍、2.6倍、6倍に上昇していた。
調査によると、パートナーと一緒に取り組むことで、互いに刺激を受け合い、目標を達成しやすくなるという。「パートナー同士が目標を共有し、互いにサポートし合い、ときには競争することが刺激になります」と、UCL保健行動研究センターのジェーン ウォードル教授は言う。
過体重や肥満である男性や女性のパートーナーが健康的な体重を維持している場合、そのパートナーが減量をアドバイスしたり動機付けを与えるなどして、大きな影響力をもつ。
不健康な生活スタイルを改善したいと望んでいて、実際に健康増進に取り組んだ経験がないという人であっても、すでに健康的な生活スタイルを実行している人が身近に「役割モデル」として存在していれば、目標を達成しやすくなることは過去の研究でも確かめられている。
「例えば、ダイエットに取り組んでいる夫婦であれば、1週間ごとにゴールを定めて、達成できればその週末にレストランに一緒に食事に行くなどして"ご褒美"を設けて工夫すれば、目標を達成しやすくなります」と、ウォードル教授はアドバイスしている。
UEA research shows group walking cuts risk of life-threatening conditions(イースト アングリア大学 2015年1月19日)Is there evidence that walking groups have health benefits? A systematic review and meta-analysis(英国スポーツ運動医学協会 2015年1月19日)
Couples more likely to get healthy together(英国がん調査 2015年1月19日)
The Influence of Partner's Behavior on Health Behavior Change(米国医師会 2015年1月19日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年07月07日
- 子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
- 2025年06月27日
-
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】 - 2025年06月17日
-
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断 - 2025年06月02日
- 肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
- 2025年05月20日
-
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化 - 2025年05月16日
- 高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
- 2025年05月16日
- 【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
- 2025年05月12日
- メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
- 2025年05月01日
- ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】