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野菜や果物を食べると脳卒中や心臓病のリスクを下げられる

 野菜や果物の摂取量が多いほど、脳卒中や心臓病などの循環器疾患による死亡リスクが低下することが、日本人を24年間追跡して調査した研究で明らかになった。
野菜の目標量を満たしていない日本人
 研究は、人間総合科学大学健康栄養学科の奥田奈賀子准教授らの研究グループが、厚生労働省研究班(研究代表者:三浦克之・滋賀医科大学社会医学講座教授)が実施している大規模研究「NIPPON DATA研究」のデータを解析したもの。

 NIPPON DATA研究は、脳卒中や心臓病などの循環器疾患の基礎調査を目的とした日本を代表する大規模な長期追跡研究(コホート研究)だ。

 野菜・果物を食べることで循環器疾患をどれだけ防げるかを、今回の研究ではじめて20年以上継続して調査した。研究成果は「欧州臨床栄養学雑誌」(European Journal of Clinical Nutrition)に発表された。

 野菜は低カロリーで食物繊維やビタミン、ミネラルを多く含む。主食、主菜、副菜をそろえて食べる和食は、本来は野菜を多くとりやすい食事スタイルだ。

 しかし、日本人の野菜摂取量の平均は、2013年の国民健康・栄養調査によると30歳代で249g、40歳代で245g、50歳代で286gだった。いずれも10年前に比べ減少しており、目標摂取量の350gに達していない。特に緑黄色野菜や葉物野菜、海藻などの摂取量は減っている傾向にあるという。
野菜・果物を多く食べる人では死亡リスクが低下
 研究チームは、1980年の「国民健康・栄養調査」に参加した30~79歳の男女9,112人を24年間追跡して調査し、野菜と果物の合計摂取量と、脳卒中と心臓病などの循環器疾患による死亡リスクとの関連を解析した。

 24年間の追跡期間中に、823人が脳卒中や心臓病で死亡したが、性別、年齢、飲酒習慣、喫煙習慣、食塩や他の食品摂取量などの影響を調整して解析したところ、野菜・果物の摂取量が多いほど、死亡リスクが低下するとわかった。

 参加者を野菜と果物の合計摂取量で4群に分けたところ、もっとも少ない群(Q1)の摂取量は1日275g(野菜4皿)、2番目に多い群(Q3)は1日486g(野菜5皿と果物1皿)、もっとも多い群(Q4)は1日652g(野菜7~8皿と果物1皿)だった。

 その結果、もっとも少ない群(Q1)に比べ、2番目に多い群(Q3)で28%、もっとも多い群(Q4)で26%、それぞれ循環器疾患の死亡リスクは低下した。
 健康増進を目的に国が推進する「健康日本21」(第2次)では、「野菜 350g」「果物 100g」を1日の目標摂取量に定めている。Q3の摂取量はこの目標量とほぼ同じだった。

 野菜料理の1皿分の量はおよそ70g。たとえば「青菜のお浸し」「野菜サラダ」「カボチャの煮物」などの小皿を1日5皿食べると、350gを満たせるという。また、果物1皿分はリンゴであれば、2分の1個に相当する。

 野菜のみの摂取量で比較したところ、やはり野菜を多く摂取している群では死亡リスクは低下した。1日300g以上の野菜を摂取している群では、もっとも少ない群(1日170g)と比べて死亡リスクは19%低下した。

 「食塩摂取量を抑えながら、野菜を毎食、果物を1日1回、毎日食べることで、将来の脳卒中や心臓病を予防できる可能性が示されました」と、奥田准教授はアドバイスしている。

循環器病の予防に関する調査(ニッポンデータ2010)
Fruit and vegetable intake and mortality from cardiovascular disease in Japan:A 24-year follow-up of the NIPPON DATA80 Study(European Journal of Clinical Nutrition 2015年1月14日)
[Terahata]
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