ニュース

介護職員は2025年に30万人不足 人材確保のための施策が急務

 厚生労働省の福祉人材確保専門委員会は、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年の時点で、全国でおよそ33万人の介護職員が不足するという推計を明らかにした。
2025年に30万人の介護職員が不足
 2000年の介護保険制度が創設された当時、約55万人だった介護職員は、2013年には約171万人に増加した。

 団塊の世代が全て75歳以上となり、要介護の高齢者の増加する2025年には約248万人の介護職員が必要と推計されている。

 15~64歳の生産年齢人口が減少しており、2025年にはさらに減少し、経済状況の好転に伴い他産業へ人材が流出するおそれもある。

 厚労省の専門委員会はこれらを背景に、現状の施策を継続した場合、2025年には約30万人の介護職員が不足するとの見通しを示した。

 医療ニーズの高まりや、認知症高齢者、高齢者のみ世帯の増加に伴い、介護ニーズの高度化・多様化に対応できる介護人材の質的向上を図る必要があるとしている。

 具体的には、2015年度予算で公費90億円を割き、人材確保のための施策を実施する。

 介護現場への参入を促すため、未経験者向けの新たな研修を実施し、いったん職場を離れた介護福祉士の届出制度を都道府県ごとに創設し、求人の紹介や再就職のための研修を行う。育児休業制度の充実や、事業所内保育施設の運営支援などの対策も行う。

 このほか、職員の人材育成に取り組む事業所に対し介護報酬の加算や助成金の支給を行うほか、職員の負担を軽減するため介護ロボットの導入なども進めるとしている。

介護人材確保に向けた4つの基本的な考え方

(1)持続的な人材確保サイクルの確立
 人材の量的確保と質的確保を両輪として、介護人材の「量」と「質」の好循環を進めるという視点に立ち、その上で、「参入促進」「労働環境・処遇の改善」「資質の向上」と いう3つのアプローチによる総合的な政策対応を図る。

(2)介護人材の構造転換(「まんじゅう型」から「富士山型」へ)
 若年者人口の減少、介護ニーズの高度化・多様化等、現在の介護人材にかかる課題を踏 まえ、次の5つの「目指すべき姿」を見据え、介護人材について、現行の「まんじゅう型」から「富士山型」への構造転換を図ることが必要である。その際、対象とする人材のセグメント(層)に応じた、きめ細やかな方策を講じることが必要となる。
①「すそ野を拡げる」-人材のすそ野の拡大を進め、多様な人材の参入促進を図る-
②「道を作る」-意欲や能力や役割分担に応じたキャリアパスを構築する-
③「長く歩み続ける」-いったん介護の仕事についた者の定着促進を図る-
④「山を高くする」-専門性の明確化・高度化で、継続的な質の向上を促す-
⑤「標高を定める」-限られた人材を有効活用するため、機能分化を進める-
(3)地域の全ての関係主体が連携し、介護人材を育む体制の整備
 政策対応に当たっては、介護事業者をはじめ、都道府県など地域の関係者の適切な役割分担のもとに、連携して取組を進めていく体制を構築することが重要となる。

(4)中長期的視点に立った計画の策定
 2025年を介護人材確保にかかる当面の目標年次とした上で、今後、戦略的に政策展開を図るために、定量的な目標を定め、時間軸に沿った対策を、計画的に講じていく。

第4回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会(厚生労働省 2015年2月23日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2025年08月21日
令和7年(1月~7月)の自殺者は11,143人 前年同期比で約10%減少(厚生労働省)
2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年08月13日
小規模事業場と地域を支える保健師の役割―地域と職域のはざまをつなぐ支援活動の最前線―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈後編〉
2025年08月07日
世代別・性別ごとの「総患者数」を比較-「令和5年(2023)の患者調査」の結果より(日本生活習慣病予防協会)
2025年08月06日
産業保健師の実態と課題が明らかに―メンタルヘルス対応の最前線で奮闘も、非正規・単独配置など構造的課題も―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈前編〉
2025年07月28日
日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月28日
1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
2025年07月28日
【妊産婦を支援】妊娠時に頼れる人の数が産後うつを軽減 妊婦を支える社会環境とメンタルヘルスを調査
2025年07月22日
【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶