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がん未承認薬を使った「混合診療」 月100万円以上の高額負担に懸念の声
2015年04月16日

国立がん研究センターは、国内未承認薬を混合診療として使えるようにする「患者申出療養」(仮称)の対象となる抗がん剤が、1月末時点で42種類に上るとの集計結果を発表した。
うち24種は薬剤費が円換算で月に100万円を超えることも判明し、承認されて公的医療保険が適用されないと、患者の負担が高額になることが明らかになった。
うち24種は薬剤費が円換算で月に100万円を超えることも判明し、承認されて公的医療保険が適用されないと、患者の負担が高額になることが明らかになった。
未承認薬剤を使った混合診療を認める「患者申出療養」
「患者申出療養」(仮称)とは、患者が希望すれば、迅速な審査で国内未承認の薬剤を使った医療を混合診療として認めるという制度(保険外併用療養費制度)。今国会で審議され、2016年度に導入される見込みだ。
「混合診療」では、公的医療保険で認められている保険診療と保険外の診療を併用することを原則として禁止されているが、この制度では、未承認薬・適応外薬の薬剤費を患者の自己負担で使えるようになる。
国立がん研究センター先進医療評価室が公開した「国内で薬事法上未承認・適応外となる医薬品・適応のリスト」によると、1月末時点で欧米既承認・日本未承認の抗がん剤は42剤に上る。
未承認抗がん剤の薬剤費は1ヵ月当たり100万円以上
患者申出療養の対象となるのは、血液がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、前立腺がんなどで、これらの抗がん剤の大半は1ヵ月当たり100万円以上の薬剤費が必要となる。
その内訳をみると、主な抗がん剤は、悪性リンパ腫など血液領域が19剤、メラノーマなど皮膚科領域が5剤、前立腺がんなど泌尿器科領域が5剤、骨軟部腫瘍が2剤、甲状腺がんが2剤、非小細胞肺がんなど肺がんが2剤だった。5大がんとされる胃がん、大腸がん、乳がん、肝がん・子宮がんの未承認薬は1剤のみだった。
公的医療保険が適用された薬であれば、自己負担は1~3割。患者の年齢や収入によって異なるものの、高額療養費制度を使えば、薬代を含めた1ヵ月の医療費を大幅に減額できる。
「患者申出療養が導入されても、薬剤費の多くは患者の負担となることが予想され、高額な薬剤費を負担できる一部の裕福な患者しか恩恵を受けられない可能性がある」と、同センターは懸念を示している。
自己負担額が1,000万円を超えるケースも
同センターが、米国での薬価が確認できた34種類について、1ヵ月にかかる薬代を円換算(1ドル=100円)したところ、24種種類は月100万円を超え、6種類は300万円を上回った。
最高額は前立腺がんを対象にしたがんワクチン「シプリューセルT」で、月620万円になるという。また、月100万円を下回った10種類は、月5万2,000円から96万5,000円だった。
同センターは、実際に未承認薬を用いた場合の患者自己負担額を試算したモデルケースを示した。
それによると、悪性リンパ腫治療薬「ブレンツキシマブ ベトチン」の初回投与時(1回当たり、入院3日間)の自己負担額は、患者申出療養を使った「混合診療」では143万0658円だが、保険診療で高額療養費制度を使った場合は9万4028円となり、混合診療の約15分の1になる。
さらに、メラノーマ治療薬「イピリムマブ」の4回投与(3カ月当たり、初回投与は入院3日想定)の自己負担額は、患者申出療養を使うと1,352万7,198円と1,000万円を超え、高額療養費制度を使った場合は37万545円となる。
ホームページ上のリストでは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「未承認薬データベース」をもとに、がん研究センターが米国や欧州の承認情報を追加し、薬剤名、適用がん種名、1ヵ月の薬剤費の試算を紹介している。
国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品について(国立がん研究センター)
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