ニュース
「残薬」対策で薬の飲み残しを大幅に減少 29億円の医療費を抑制
2015年04月23日

処方された薬を患者が大量に飲み残す「残薬」が問題になっている。薬剤師が医師に照会し調剤する薬を減らすなどして、2012年度におよそ29億円の医療費が抑制できたことが判明した。4月8日に開催された中医協総会では「残薬の解消に向けた薬剤師の取り組みが期待される」という意見が出された。
残薬の調整で29億円の医療費を抑制
2016年度の診療報酬改定に向け、患者が薬を飲み忘れたり、複数の医療機関から同じ薬を処方されたりして生じる薬の飲み残し、いわゆる「残薬」の解消に向けた対策が必要との意見が、中央社会保険医療協議会(中医協)総会で出された。
厚労省が提示した資料では、長期投薬の増加などにより、飲み忘れや飲み残し、症状の変化によって生じたと思われる多量の残薬が生じていることが示された。
2013年に厚労省の委託調査として全国998の薬局を対象に実施された「薬局の機能に係る実態調査」では、「残薬」を有する患者について、「頻繁にいる」は17.1%、「ときどきいる」は73.2%で、合計で約9割に上った。患者(1,927人)への調査は、「大量に薬が余ったことがある」が4.7%、「余ったことがある」が50.9%という結果になった。
また、東京理科大学薬学部の鹿村恵明教授が日本薬剤師会からの委託事業で540薬局を対象に行った「2013年度全国薬局疑義照会調査」では、処方箋応需枚数(18万3,532枚)のうち、形式的な疑義照会を除いた薬学的疑義照会は4,141件だった。このうち「残薬に伴う日数・投与回数の調整」を行ったのは約10%の420件に上った。
この数値を処方箋応需枚数(18万3,532枚)に当てはめると、残薬の調整は0.23%で実施されていることになり、全国の年間の処方箋枚数に換算すると、医療費をおよそ28億7,000万円(1件当たり1,595円)抑制できたという。
長期処方が残薬や病気の悪化の原因になると指摘

薬の飲み残し対策を実行 患者の服薬コンプライアンスが向上
埼玉県薬剤師会が、昨年度取り組んだ「高齢者等の薬の飲み残し対策事業」の調査結果によると、介護が必要ない自立した高齢者は要介護者と同様に、飲み忘れなどにより残薬をもっているという。
50歳以上、慢性疾患で1年以上の服薬歴を有する患者150人(平均年齢78.6歳)を対象に調査を実施したところ、全ての患者で残薬が確認されました。
初回調査時の患者1人当たりの残薬は8.0品目、8,435円だったが、薬剤師が残薬の状況に応じた患者への服薬指導や医師への処方調整依頼などの取組みを積極的に行った結果、2.5ヵ月後には6.0品目、3,690円にまで減少し、総額を222万7,704円から94万5,735円に削減できたという。
薬剤師が患者宅を訪問して医薬品の使用状況を見ながら服薬指導を行うとともに、一包化やお薬カレンダーの活用など患者の状態に応じた工夫を行った結果、服薬コンプライアンスが大幅に向上した。
第294回中央社会保険医療協議会総会(厚生労働省 2015年4月8日)高齢者等の薬の飲み残し対策事業(埼玉県薬剤師会 2015年3月19日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「地域保健」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月25日
- ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
- 2025年02月25日
- 緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月17日
- 肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
- 2025年02月17日
- 中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
- 2025年02月17日
- 高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
- 2025年02月10日
- 緑茶やコーヒーを飲む習慣は認知症リスクの低下と関連 朝にコーヒーを飲むと心血管疾患リスクも低下
- 2025年02月10日
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮