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アミノ酸「L-システイン」が飲酒による胃がんのリスクを減らす
2015年04月23日
東北大学の研究グループが、アルコール摂取後の胃液中のアセトアルデヒドの増加が、二日酔い改善の効能があるとして健康食品などに利用されているアミノ酸「L-システイン」により抑えられることを明らかにしたと発表した。
L-システインの効果は二日酔い改善だけではない
胃がんは全世界で男女ともにがん死亡のうち3番目に多い原因であり、日本を含む東アジアでは死亡率が高い。原因は、喫煙や食生活などの生活習慣やヘリコバクターピロリの感染などだが、飲酒、特にお酒に弱い人では、胃がんのリスクが高い。
アセトアルデヒドは、アルコールが酸化されてできる発がん性のある物質。アセトアルデヒドはALDH2という酵素によって酢酸へと代謝されるが、この代謝速度には個人差があることが知られている。
代謝が遅い「ALDH2不活性型」の人は、少量のアルコール摂取でもアセトアルデヒドが体内に蓄積し、顔面紅潮、動悸などのアルコール摂取に伴う種々の有害反応が引き起こされる。
日本人の30~40%が飲酒すると顔が赤くなるALDH2不活性型
少量の飲酒で顔などが赤くなるお酒に弱い人はALDH2不活性型であり、日本人の30~40%が該当すると考えられている。
研究グループは、ALDH2不活性型では活性型に比べて、飲酒後にアセトアルデヒド濃度が5.6倍に上昇することを突き止めた。
さらに、ALDH2不活性型の人ではアルコール摂取後、胃内アセトアルデヒド濃度が非常に高くなり、胃粘膜が高濃度のアセトアルデヒドに暴露され、これが胃がん発生のリスクを高めていると考えられるという。
研究では、徐放性L-システインを服用することで、胃内のアセトアルデヒドがALDH2活性型では67%、ALDH2不活性型では60%の低下することが確かめられた。その効果は2時間持続するという。
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お酒に弱い人と強い人の両方でがん予防の効果
L-システインの徐放性カプセルを服用すると、胃内でL-システインが徐々に放出され、アセトアルデヒドと反応し、その毒性を中和させることも判明した。
L-システインによるアセトアルデヒドの低下は、ALDH2活性型、不活性型の両方で観察されたことから、どちらでも胃がんの予防に有用である可能性があるという。
この研究は、東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野の飯島克則氏、前嶋隆平氏、下瀬川徹教授らの研究グループによるもので、オンライン科学誌「プロス ワン」に発表された。
東北大学大学院医学系研究科Effects of ALDH2 Genotype, PPI Treatment and L-Cysteine on Carcinogenic Acetaldehyde in Gastric Juice and Saliva after Intragastric Alcohol Administration(PLOS ONE 2015年4月1日)
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