ニュース

子どもの誤飲事故 医薬品が大幅に増加しトップに 事故が起きた時の対策

 厚生労働省は家庭での子供の誤飲事故に関する調査結果を発表した。医薬品や医薬部外品を誤飲したケースが大幅に増え、1979年度以来トップだったたばこの誤飲を抜いてトップになった。
医薬品の誤飲は96件 ほとんどが「経過観察」
 「健康被害病院モニター報告」の2013年度の報告件数は1,721件で、2012年度の報告件数(1,576件)より増加した。35年間の報告件数は累計3万9,441件となった。

 このうち小児の家庭用品などの誤飲事故に関する報告は531件であり、前年度に比べ146件増加した。

 小児の誤飲事故の原因製品としては、「医薬品・医薬部外品」が96件でもっとも多かった。次いで「タバコ」が94件、「プラスチック製品」が60件、「玩具」が51件、「金属製品」が50件と続く。1979年の調査開始以来はじめて薬がたばこを上回った。

 薬の種類で最も多かったのは、「中枢神経用薬」(26件)で、OTCの「一般精神神経用」薬(15件)、「循環器官用薬」(9件)と続き、精神疾患の薬が上位を占めた。

 症状別の件数では多い順に、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などの「消化器症状」、咳、呼吸時の気道雑音などの「呼吸器症状」が多く、意識障害、眠気などの「神経症状」が続いた。

 死亡例はなかったが、「入院」「転科」「転院」となったものが合計30件あり、2012年度(23件)より増加した。それ以外はほとんどが「帰宅(経過観察)」となっていた。
医薬品を小児の手の届かない場所に保管し対策
 誤飲事故を起こした年齢については、タバコが6~17ヵ月児に多くみられるのに対し、医薬品などは、年齢層はより広いものの、特に自らフタや包装を開けて薬を取り出せるようになる1~2歳児にかけて多くみられた(72件)。

 誤飲の発生した時刻は、昼食、夕食の前と思われる時間帯に高い傾向があった。家族が使用し、放置されていたものを飲んだり、家族が口にしたのをまねて飲むなどの理由が考えられる。

 また、医薬品などの誤飲事故は、保護者が薬をテーブルや棚の上に放置し、保管を適切に行っていなかったったり、保護者が目を離した隙に多く発生している。また、錠剤をお菓子と間違えて誤飲した事例も報告されている。

 厚労省では、保護者へのアドバイスとして「医薬品・医薬部外品の誤飲による症状発現、処置事例、入院事例が多く報告されている」「シロップなどの味付けがしてある薬は、小児が自ら飲んでしまうことがあるため、服用後はそのまま放置せず、小児の手の届かない場所に保管するなど、保管及び管理に留意することが必要」と、注意を呼びかけている。

 報告では、精神疾患の薬を子供が誤飲した事例として以下のケースを紹介している。

 〈母親の内服薬3種類をお菓子と間違って飲んでしまった。タンスの上に置いてあって、母親は本児がまさか手が届くとは思っていなかった。〉

 〈午前7時30分ごろ、母親の常用している精神神経用薬を食べているところを母親が発見した。発見時には活気があり、空腹の訴えがあったため、その後、食事を摂った。午前9時ごろ眠傾向になり、午前10時ごろ受診、病院へ搬送。〉

 〈母親がトイレに行った間に寝室に入り、母親のバックより、母親の薬を最大14錠を食べてしまった。家庭内にある薬は、厳重に保管・管理すること。また、薬剤の柀包は、容易に開封できないような工夫が必要である。〉

 東京都のサイトの「誤飲事故防止ガイド」のように、誤飲対策をまとめたホームページも多く、そうしたものにふだんから目を通すように心がけたい。1回目を通すだけでも、万一の時に役立つかもしれない。

平成25年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告(厚生労働省 2015年3月31日)
乳幼児の誤飲事故防止ガイド(東京都)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月17日
高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
2025年02月10日
緑茶やコーヒーを飲む習慣は認知症リスクの低下と関連 朝にコーヒーを飲むと心血管疾患リスクも低下
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶