ニュース

血液1滴でがんを早期発見 10種類以上のがんを1回の採血で診断

 1滴の血液から何種類ものがんを早期発見できる――そんな時代が訪れるかもしれない。「1回の採血で10種類以上のがんを早期発見する技術」を開発するプロジェクトが進行中だ。
1滴の血液で乳がんと大腸がんを早期診断 今夏に研究開始
 進行中のプロジェクトとは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が国立がん研究センターや東レ、東芝など20機関以上と共同で実施している「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発」だ。

 がんを克服するために、早期発見が重要だ。プロジェクトでは、がん細胞が分泌する「マイクロRNA」と呼ばれる物質に着目。13種類のがんなどに特徴的なマイクロRNAを組み合わせることで、従来の診断方法では見逃されていたがんを早期発見し、がんの種類も特定できるようにする技術を開発している。

 2015年夏に乳がんと大腸がんの早期診断の試みを開始し、2018年度末までに完成させることを目指している。

 新しい診断法は、従来とまったく異なる原理にもとづいている。がん組織は「エクソソーム」という直径1万分の1~以下の小胞を血液などに出しており、中にそれぞれ特有のマイクロRNAを含んでいる。

 エクソソームは、細胞と細胞の間で情報を伝える働きをし、がん細胞の周囲にある正常な細胞と相互に影響し合い、がんの進行に大きく関係している。

 エクソソーム中のマイクロRNAは18~25塩基ほどの小さなRNA。がん特有のマイクロRNAは、がんの転移や病態変化などに関与しており、新しい疾病マーカーとして有望視されている。

 国立がん研究センターが患者の同意を得て収集した7万検体という膨大な血液試料から特異的なマイクロRNAを探し出し、マイクロRNAデータベースを構築することを計画している。

 現状で解析がもっとも先行しているのは乳がんだ。1,000例以上を解析済みで、マイクロRNAとの関係がかなり明確に分かってきた。マイクロRNAを利用して99%以上の感度と特異度で乳がんを診断でき、直径3mmの乳がんも診断できるという。

 世界中で研究が進められているが、患者の膨大な血液試料と照合して、実用的ながんマーカーを探すのはこのプロジェクトが世界ではじめてとなる。

 「マイクロRNAは今までにないがんマーカーで、感度と特異性が高い。できる限り早く使えるようにしたい。がんのマイクロRNAは人種を超えて共通なので、プロジェクトの成果は世界に発信できる」と、プロジェクトの研究開発責任者を務める国立がん研究センター研究所分子標的研究グループ分子細胞治療研究分野長の落谷孝広氏は話している。
体液中マイクロRNA測定技術基盤開発(新エネルギー・産業技術総合開発機構 2015年3月31日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2023年08月09日
8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年07月28日
2022年度版「健診・保健指導施設リスト」状況を報告します【保健指導リソースガイド】
2023年07月24日
標準体重でも3分の1は実は「肥満」 BMIは健康状態をみる指標として不十分 やせていても安心できない
2023年07月11日
自治体健診で高齢者のフレイルを簡便に判定 「後期高齢者の質問票」でリスクが分かる 「フレイル関連12項目」とは?
2023年06月20日
肝臓学会が「奈良宣言2023」を発表 肥満・メタボの人は「脂肪肝」にもご注意 検査を受けることが大切
2023年06月12日
自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県
2023年06月05日
要介護認定リスクと関連の深い健診6項目が明らかに 特定健診・後期高齢者健診のデータから判明 名古屋市
2023年05月19日
令和4年度「東京都がん予防・検診等実態調査」 受診者増加のための取組み率は健康保険組合で85%に上昇
2023年05月18日
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶