ニュース

骨粗鬆症の検査がリスクの高い65歳以上の女性で十分に行われていない

 骨粗鬆症のスクリーニング検査は、検査が必要なリスクの高い女性が受けている割合が低いという調査結果を、カリフォルニア大学が発表した。骨粗鬆症のリスクの高い女性が検査を受けられていない現状については、日本でも同様の報告がある。
骨折リスクが上昇する65歳以上の女性で検査が活用されていない
 骨粗鬆症は骨の強度が低下し、骨折の危険性が高くなる病気だ。骨粗鬆症の発症と関連が深いのは年齢と性別だ。そのためガイドラインでは、65歳以上の女性は年に1回以上、骨密度測定のスクリーニング検査を受けることを推奨している。

 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、閉経後の女性と65歳以上の女性は年に1回以上、股関節と腰椎の骨などで「DEXA検査」を行うことを推奨している。骨粗鬆症のスクリーニング検査が勧められるのは、体格の小さい骨量の少ない女性や、骨折の経験のある女性、骨粗鬆症の薬物療法を受けている女性だ。

 カリフォルニア大学のアンナ リー アマーナス氏らは、サクラメントで医療サービスを受けた40~85歳の女性5万1,000人の女性の検査データを解析した。データには、骨粗鬆症のリスク要因や、DEXA検査により骨密度のスクリーニング検査を受けたかどうかが含まれていた。

 一般に骨の強度は骨量あるいは骨密度が7割、骨質が3割影響するとされる。したがって骨の強度の要因である骨量を測定することで骨粗鬆症の診断が可能となる。信頼の高い骨量の測定法としてDEXA検査が知られている。DEXA検査は、2種類のX線を当てることで骨成分を他の組織と区別して測定する方法だ。

 7年以上の調査期間中に、骨粗鬆症の検査が必要で費用対効果が高いとされる65~74歳の女性の42%、また75歳以上の女性の57%が、スクリーニングを受けていないことが判明した。一方で、リスクの低い50~59歳の女性の46%近く。60~64歳の女性の59%が検査を受けていた。

 「DEXA検査によるスクリーニングは、骨折リスクが上昇する65歳以上の女性で、十分に利用されていないことが分かりました。一方、骨折リスクの低い、より若い年齢層では検査が行われていることも分かりました」と、アマーナス氏は言う。

 骨粗鬆症による骨折の予防治療には、十分なカルシウムの摂取、ビタミンDの摂取、骨量を増やすために体重を負荷して行う運動、薬物療法があるが、いずれも早期に発見して治療を開始することが重要だ。

 女性では50歳前後で閉経を迎えるため、年齢に伴って骨密度が低下すると考えられている。骨粗鬆症のスクリーニング検査は、女性は40歳以上、男性は65歳以上で効果があるという報告がある。

 日本では、40歳から70歳までの女性は、5歳刻みに検診を受けられる節目検診があるが、受診率は伸び悩んでいる。リスクの高い女性が検査を受けられるよう、啓発活動も求められている。

 「骨粗鬆症の危険性が上昇する年齢層の女性が検査を受けられていない現状の検査のあり方は適切ではない可能性があります。健康レコードシステムを整備し、対策する必要があります」と、カリフォルニア大学のジョシュア フェントン氏は指摘している。

Osteoporosis screening is too common for low-risk women and too uncommon for higher-risk women(カリフォルニア大学 2015年5月19日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
2025年01月23日
高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
2025年01月14日
特定健診を受けた人は高血圧と糖尿病のリスクが低い 健診を受けることは予防対策として重要 29万人超を調査
2025年01月06日
【申込受付中】保健事業に関わる専門職・関係者必携
保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2025年版」
2024年12月24日
「2025年版保健指導ノート」刊行
~保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳です~
2024年12月17日
子宮頸がん検診で横浜市が自治体初の「HPV検査」導入
70歳以上の精密検査無料化など、来年1月からがん対策強化へ
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶