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ストレスチェック制度 海外派遣者への対応はWEB面談サービスを活用
2015年07月13日
近年、日本企業で働く人は、グローバル化による事業の海外展開や生産ラインの移転のため、一般職、技術職を問わず誰でも海外勤務することがあたりまえとなっている。
その中で、職場要因や生活環境の変化によって、海外赴任中の駐在員が心身に不調を訴えたり、業務上でトラブルを起こすなど、海外事業の展開に影響を及ぼすリスクも増加している。
企業にとって、海外駐在員のメンタルヘルス対策をしっかり行うことは、海外での事業活動に大きな影響を与えるといえる。
その中で、職場要因や生活環境の変化によって、海外赴任中の駐在員が心身に不調を訴えたり、業務上でトラブルを起こすなど、海外事業の展開に影響を及ぼすリスクも増加している。
企業にとって、海外駐在員のメンタルヘルス対策をしっかり行うことは、海外での事業活動に大きな影響を与えるといえる。
海外駐在員の6割以上が赴任中にストレスを感じている
海外駐在員のメンタルヘルスについて、産業能率大学が海外赴任経験をした人を対象に実施した調査によると、「海外赴任中にストレスを感じた」とした人は62.2%と半数以上に上った。その原因について、「言葉の壁・コミュニケーションのとりにくさ」「文化・価値観・考え方の違い」「生活環境の変化・生活習慣の違い」が多くあがった。
また、会社や上司からの支援については、現地の仕事や生活環境に適応するための役立つ支援を「受けていない」とした人が63.8%もいるなど、海外駐在員を送り出す企業が十分に支援できていない実態が明らかになった。

精神障害による労災請求は年々増加傾向
企業が労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務)が十分でないと、精神障害や自殺者が出る可能性が高まり、労災請求や損害賠償に発展することがある。国内の例では、安全配慮義務違反により1億6,000万円もの損害賠償になった事例もある。
厚生労働省の「平成25年度脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」よると、精神障害の労災請求件数が1,409件(前年度比152件増)と過去最多だった。一方、支給決定件数は436件(前年度比39件減)と、4年ぶりに減少したが、2年連続で400件を超え、請求件数の36.5%が認定されている。

地域によりストレス要因は異なる
外務省の「海外在留邦人数調査統計平成26年要約版」によると、2013年の在留邦人数は125万8,263人(前年比 8,686人増)で、同調査を開始した1968年以降過去最高となっている。そのうち、民間企業関係者の長期滞在者は45万2,517人で、近年ではタイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インドなどアジア地域の増加が目立っている。
日系企業の拠点数をみると、少なくとも6万3,777拠点(前年比 2,989拠点増)で、こちらも同調査開始した2005年以降過去最多となった。国別では、中国(約50%)、米国(約11%)、インド(約3.9%)、タイ(約2.5%)、ドイツ(約2.5%)、以下アジア地域のインドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、台湾と続き、日系企業の全拠点のうち約70%がアジアに集中する。

ネットを利用した健康相談サービスが主流に
海外駐在員のメンタルヘルス対策というと、これまではメール相談やテレビ会議システムを利用した面談といった方法があった。しかし、メールの場合、顔を直接見ることができず駐在員本人の様子がわからない点や、テレビ会議システムの利用の場合、会社に利用申請が必要など自由に使えない点があり、相談窓口を設けていても利用率が低い現状だった。
最近では、インターネット環境や端末の発達により、身近にあるスマートフォンやタブレット、PCから簡単に利用できる健康相談サービスが増えてきている。
このようなサービスでは、自社の産業保健スタッフに代わる保健師が健康相談などの対応にあたる。また、海外特有の環境や事例にも対応できるため、自社産業保健スタッフに負担をかけず、海外駐在員のリスクマネジメントができることが多い。産業保健スタッフの顔が見え、相談しやすい仕組みをつくることで、海外駐在員・同伴家族の健康不調を早期発見、ストレス要因の解消につなげることができる。
海外赴任者に対する育成・支援の現状(産業能率大学)平成25年度 脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況(厚生労働省)
海外在留邦人数調査統計(外務省)
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