ニュース

ウォーキングが糖尿病腎症を改善 腎臓を守るために運動は必要

 ウォーキングなどの有酸素運動を長期間続けると、糖尿病腎症を改善できることが科学的に立証され、そのメカニズムが解明された。
運動が糖尿病腎症を改善するメカニズムを解明
 ウォーキングなどの有酸素運動によって血糖値の上昇を抑えられ、インスリンの感受性が改善し血糖値が下がりやすくなる。

 運動を続けると、インスリンを分泌する膵臓が大きくなり、機能も改善してインスリン分泌を高めることも最近分かってきた。運動には体重減少、脂質異常症の改善などの効果もある。運動を習慣として続ければ、寿命を延ばすことができる。

 しかし、多くの臨床現場では、運動療法は推奨されているものの、血糖や脂質を下げる薬物治療が優先されることが多い。

 その一因は、糖尿病の合併症のひとつである糖尿病腎症に対する有効性についてよく分かっていないからだ。

 そこで、東北大学大学院の研究グループは、ウォーキングなどの有酸素運動を長期的に行うと、糖尿病腎症を改善できることを科学的に立証し、そのメカニズムを解明した。
酸化ストレスや高血糖による糖化ストレスを改善
 2型糖尿病や肥満の重要な合併症として腎障害があり、進行すれば腎臓が機能しなくなり、透析や腎移植が必要になる。

 腎障害の治療は、血糖や脂質を下げる薬物療法が一般的で、多くの臨床現場では、運動や食事制限については推奨する程度にとどまっている。

 そこで研究チームは、2型糖尿病で肥満のラットに、トレッドミルを用いて1日60分、週5日の有酸素運動をさせる実験を行い、腎組織の一酸化窒素、酸化ストレス、糖化ストレスの変化を調べた。

 一酸化窒素(NO)は、血管拡張作用により血圧を下げたり、抗酸化作用などによって心臓や血管を保護するのに加え、腎臓の保護作用にも関わっている。また酸化ストレスや高血糖による糖化ストレスは、糖尿病腎症を進展させる。

 運動の強さを増していくと、筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給が追いつかなくなり、血液中の乳酸が急激に増加しはじめる閾値がある。ラットにはこの閾値に達するまで運動をさせた。

 その結果、有酸素運動を長期続けることで、アルブミン尿や多尿が抑制され、腎機能が改善することが判明した。腎組織を観察したところ、血液中の老廃物が濾過される「糸球体」や血管の障害が改善されていた。

 また、運動により、腎内の「内皮型」および「一酸化窒素合成酵素」が増えていた。これらの酵素は細胞内にあり、主に血管拡張と細胞間情報伝達に関わっている。さらに、運動により酸化ストレスと糖化ストレスのマーカーが軽減することが判明した。

腎臓を守るために運動は極めて有用
 これらの結果から、肥満をともなう2型糖尿病では、有酸素運動を長期行うことで、一酸化窒素が増強され、酸化ストレスと糖化ストレスが軽減され、腎障害を改善することが明らかになった。

 研究成果は、近年増加するメタボリックシンドロームの代表的疾患である糖尿病や肥満における腎障害の進展に対して、運動療法が極めて有用であることを裏付けている。

 さらに、運動療法治療は薬物治療や外科的治療に比べ、医療経済面や安全面で優れている。糖尿病の患者や予備群に運動を推奨することの社会的意義は大きい。

 この研究は、東北大学大学院医学系研究科宮城地域医療支援寄附講座の伊藤大亮助教、清元秀泰教授らの研究グループによるもので、科学誌「プロス ワン」オンライン版に発表された。

東北大学大学院医学系研究科・医学部
[Terahata]

「運動」に関するニュース

2021年12月20日
「住環境」は健康増進にも影響 「断熱と暖房」が血圧や住宅内での活動量に寄与 足元が暖かいことも大切
2021年12月08日
「今求められる女性の健康サポート」へるすあっぷ21 12月号
2021年12月07日
「少食+運動不足」の女性は健康リスクが高い 運動習慣のない人も取り組みやすい「女性のためのエクササイズ」動画を公開
2021年12月07日
筋肉が減る「サルコペニア」は早期に対策すれば防げる 運動を意識して行い、筋肉の量と機能の低下を防ぐ
2021年11月30日
内臓脂肪が多いと認知症リスクが上昇 脳の異常も発生 内臓脂肪を減らせばリスクを減らせる
2021年11月16日
【新型コロナ】ウォーキングなどの運動でうつや不安を解消 座ったままの時間が長いとうつリスクが上昇
2021年11月09日
【世界糖尿病デー】東京都「今日から始めよう!糖尿病予防」キャンペーン 都民の4人に1人は糖尿病かその予備群
2021年11月08日
肥満のある人・肥満のない人の両方に保健指導が必要 日本人4.7万人の特定健診データを解析
2021年11月08日
音楽に合わせた軽めの運動が認知機能や気分を向上 「運動は、少し動きを速くして休憩を挟みながら行うと、より楽しく快適に」
2021年11月05日
「脳・心臓疾患の労災認定基準改正 働き方改革の一層の推進へ」へるすあっぷ21 11月号
DASHプログラム
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日・約11,000通)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶