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歩行時間が30分未満だと糖尿病リスクが上昇 運動不足はリスク
2016年01月27日

1日の歩行時間が短い人では、長い人に比べて糖尿病になる危険性が高いことが、国立国際医療研究センターなどが全国10保健所などで行っている大規模コホート研究「JPHC研究」で分かった。
4%は糖尿病を自覚していないことも判明
ウォーキングはいつでもどこでも取り組める手軽な運動だ。運動不足はさまざまな病気になる危険性を高め、糖尿病リスクを上昇させることが知られる。ただ歩くだけでも糖尿病リスクを下げることは欧米の研究で示されているが、日本人にも当てはまるかは不明だった。
研究グループは、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、東京、高知、長崎の10保健所で、1998~2000年時点で40~69歳だった2万6,488人の男女(平均年齢62歳、男性36%)を対象に調査。参加者にアンケートに答えてもらい、1日の歩行時間を「30分未満」「30分~1時間未満」「1時間~2時間未満」「2時間以上」に分け、血糖値やHbA1c値で糖尿病の判定を行った。
その結果、1日2時間以上歩いている人に比べ、30分未満の人では糖尿病リスクが1.23倍に上昇することが分かった。歩行時間が2時間以上の群では糖尿病の有病率が3.8%であったのに対し、30分未満の群では4.7%だった。参加者のうち4.0%(1,058人)が本人が自覚していない糖尿病であることも判明した。
また、1万1,101人(平均年齢62歳、男性33%)を5年間追跡して糖尿病の発症を調べた縦断的解析では、糖尿病率は、1日の歩行時間が2時間以上の群で4.6%だったのに対し、30分未満では7.0%だった。
研究グループは「体格指数(BMI)を調整した上でも、1日の歩行時間が少ないと糖尿病の有病率が上昇することが示された。身体活動による体重への影響とは独立して、歩行時間が糖尿病リスクと関連することが示唆された」と説明。「1日の歩行時間は、個人のさまざまな生活習慣や健康に対する態度と関連する。こうした要因が糖尿病のリスクと関連している可能性がある」として、この関係性をより明らかにするためにさらなる研究が必要とした。
詳細は、日本疫学会誌「Journal of Epidemiology」オンライン版に発表された。

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