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薄毛や脱毛の人に朗報 歳をとると毛が薄くなる仕組みを解明
2016年02月10日
加齢によって薄毛や脱毛が引き起こされるのは、毛穴の奥にある「毛包」のコラーゲンがなくなり、毛を再生する細胞がフケや垢とともに皮膚の表面からはがれ落ちるから――脱毛治療法の開発に結びつく発見を東京医科歯科大学の研究グループが発表した。
加齢に伴い毛が薄くなる仕組みを解明 治療法の開発へ
東京医科歯科大学の研究チームは、歳をとると毛が薄くなる仕組みを解明した。研究チームは、毛穴の奥にある「毛包」に着目。分裂を繰り返して、新しい毛を再生する「毛包幹細胞」が加齢に伴いどう変化するかを調べた。
その結果、毛包幹細胞は毛周期ごとに分裂するが、加齢に伴って自己複製しなくなり、老化するとフケや垢とともに皮膚表面から脱落していき、毛を生やす小器官が段階的にミニチュア化(矮小化)する。これが薄毛や脱毛が引き起こしているという。
毛包のミニチュア化は、男性型脱毛症に特徴的な変化であると考えられてきたが、生理的な加齢変化として進行していくことが判明した。男性の脱毛症だけに当てはまると考えられていたが、40歳と59歳の女性の頭皮を観察することで、女性でも進行することも明らかになった。
毛包幹細胞が発現するコラーゲンが毛包の縮小を抑える
さらに研究チームは、毛包幹細胞を維持するうえで「17型コラーゲン」というタンパク質が重要な働きを担っていることを発見。毛包幹細胞が分裂して毛になる細胞を供給するが、その際に生じるDNAの傷を修復する反応は加齢に伴って遅くなる。薄毛のマウスでは細胞の分裂時に、17型コラーゲンも一緒に分解されて枯渇することを突き止めた。
遺伝子操作によって17型コラーゲンの枯渇を抑えたマウスでは、同じ年齢の薄毛マウスより毛包の縮小が抑えられ回復することも確認。これによって毛包幹細胞が幹細胞性を失って脱落していく。ヒトの頭皮の毛包でも同様のことが起きているという。
この研究は東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野の松村寛行助教、毛利泰彰特任助教、西村栄美教授らの研究グループによるもの。研究成果は科学誌「Science」に発表された。
「毛髪にも"幹細胞を中心とした老化プログラム"があることをはじめて明らかにしました。これを制御できれば、さまざまな加齢に関連する疾患の予防や治療へと役立ちます。17型コラーゲンがなくなるのを抑制し、脱毛を防ぐような治療法の開発に結びつけたい」と、西村教授は話している。
東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野
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