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禁煙治療が「胃食道逆流症」に有効 禁煙に成功すると症状が43%改善

 禁煙治療が「胃食道逆流症」の治療に有効であることが、大阪市立大学の研究チームによって明らかにされた。「逆流性食道炎の患者には、生活習慣の改善に加え、禁煙を強く勧めるべきです」と研究チームは述べている。
禁煙治療によって胃食道逆流症の症状が改善
 喫煙は胃食道逆流症の危険因子のひとつだ。大阪市立大学の研究チームは、禁煙治療によって胃食道逆流症の症状が改善し、患者の生活の質(QOL)も向上することを、日本人を対象とした研究ではじめて明らかにした。

 胃食道逆流症は、胃液や胃の内容物が食道に逆流して起こる病気。1990年代より増加している消化器疾患のひとつで、日本では成人の10~20%が発症していると推定されている。

 胃の粘膜には胃液に含まれる胃酸から胃を守る働きが備わっているが、食道の粘膜にはそのような働きがない。そのため、胃酸が食道に上がってくると、粘膜にびらんができたり、胸やけ、呑酸、胃もたれ、吐き気、のどの不快感などさまざまな症状があらわれる。

 研究チームは、禁煙を希望する患者を対象に、ニコチン受容体作動薬の「バレニクリン」による禁煙治療を行った。研究には191人の患者が参加し、うち141人が禁煙に成功し、50人が失敗した。

 初診時に喫煙習慣、胃食道逆流症の症状および健康関連QOLに関する質問紙票を記入してもらい、12週間の禁煙治療を完遂できた患者を対象に、1年後に禁煙の成否と初診時と同様の質問紙票を用いて調査し、症状やQOLがどれだけ変化したかを調べた。
禁煙を選択すれば胃食道逆流症を克服できる
 その結果、禁煙成功群では胃食道逆流症の症状が43%で改善したのに対し、禁煙失敗群では改善は18%にとどまることが判明した。
 症状の程度を示すFスケール・スコアも禁煙成功群のみ有意に低下し、症状の程度も改善した。さらに健康関連QOLは禁煙成功群でのみ改善していた。

 今回の研究は、大阪市立大医学研究科消化器内科学の藤原靖弘准教授らによるもので、米国のオンライン科学誌「PLOS ONE」に発表された。

 「禁煙治療が胃食道逆流症に対して効果的であることを、日本人を対象とした長期的な研究ではじめて明らかにしました。喫煙はさまざまな健康被害を及ぼしますが、胸やけといった消化器症状との関連については一般的に認知度が低いのが現状です」と、藤原氏は述べている。

 「患者自身が禁煙を選択することで、生活習慣が改善し症状が良くなり、病気を克服できる可能性があることを示しています」と指摘している。

 今回の研究により、胃食道逆流症の治療では「食べ過ぎ」「脂肪分の多い食事」「早食い」「食後すぐに横になる」「ストレス」などの生活習慣の改善に加え、「喫煙習慣のある人は禁煙をする」ことも重要であることが示された。

 薬物療法で多く用いられているのは、胃酸分泌抑制薬の「プロトンポンプ阻害薬」だが、胃内の細菌叢や食物の消化吸収に影響するおそれがあり、長期服用すると胃がん、大腸がん、貧血、肺炎、骨折などの副作用が懸念されている。

 「将来的には禁煙を含めた生活習慣の改善によって病気を克服できる可能性があります。今後、禁煙治療が薬物療法の代わりになるか前向きに検討したい」と、藤原氏は述べている。

大阪市立大医学研究科消化器内科学
Long-Term Benefits of Smoking Cessation on Gastroesophageal Reflux Disease and Health-Related Quality of Life(PLOS ONE 2016年2月4日)
[Terahata]

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