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東大がスマホ用アプリを使い糖尿病の臨床研究を開始 自分で健康管理
2016年03月16日
東京大学医学部附属病院はスマホ用アプリを利用して2型糖尿病患者の生活習慣の改善を支援する研究を開始した。東京大学とNTTドコモが2009年に設置した健康空間情報学講座による研究の成果を活用している。
スマホを使い適切な自己管理を指導

ICTを活用したヘルスケアでHbA1c値が改善
近年、自己管理の支援のために情報通信技術(ICT)を用いたシステムが多数開発され、ヘルスケア領域で健康維持のために用いられている。
同講座ではこれまで、ICT医療の普及を1つのテーマとして、2型糖尿病患者を対象としたICT自己管理支援システム「ダイアルベティックス(DialBetics)」の開発と臨床研究など、さまざまなプロジェクトに取り組んできた。
2型糖尿病患者を対象に行ったダイアルベティックスを用いた3ヵ月間のランダム化比較試験では、ダイアルベティックスを使用した群ではHbA1c値が有意に改善することが確かめられた。
画像処理・認識技術を取り入れて食事画像から食事評価を行い、より健康的な食事を摂ってもらうようアドバイスを行う仕組みを開発し、より利便性の高いシステムも開発した。
"患者が自分で守る健康社会"に貢献
今回の研究は、ダイアルベティックスを用いた臨床研究の成果を発展させたもの。20歳以上の男女が参加し、最長5年間続けられる。
参加者は食事や運動などの生活習慣、体重、血圧、血糖値などの測定データを記録し、ヘルスケアアプリを経由して計測された歩数を記録する。
電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用した糖尿病に関する臨床情報収集に関する研究「J-DREAMS」も国立国際医療研究センターと日本糖尿病学会との合同で進行中だ。グルコノートで得られたデータを総合的に用いることも考えられている。
「今回の研究により、さまざまな測定データと生活習慣に関する情報を継続的に長期間にわたって収集することが可能となり、日常生活と糖尿病の関連性を解明、糖尿病の予後の改善が期待できます。スマホを使った自己管理支援を提供することで、東大COI拠点が目指す"自分で守る健康社会"に貢献できます」と、脇氏は述べている。
東京大学医学部附属病院「22世紀医療センター」東京大学大学院医学系研究科 健康空間情報学講座
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