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漢方薬の甘草成分がメタボや内臓脂肪を抑制 メタボ治療薬を開発
2016年03月23日

漢方薬に含まれる生薬・甘草の成分である「イソリクイリチゲニン」に、メタボリックシンドローム治療薬の開発につながる新たな薬理作用があることが、富山大学などの研究チームによって明らかになった。
甘草成分が炎症性サイトカインを抑制
メタボリックシンドロームや2型糖尿病の発症には、内臓脂肪の慢性的な炎症反応が深く関わっている。内臓脂肪には余剰なエネルギーを中性脂肪として蓄える脂肪細胞と免疫細胞がある。正常であると免疫細胞が脂肪細胞の恒常性を保ち、炎症を抑制している。
ところが肥満になると、炎症細胞であるマクロファージなどが内臓脂肪に集まり、脂肪細胞と相互作用することによって慢性的な炎症反応が生じる。また、マクロファージには内臓脂肪の線維化を引きおこし、脂肪細胞の機能を妨げる働きがあることが知られている。
研究グループの過去の研究で、生薬である甘草に含まれる「イソリクイリチゲニン」という成分が、マクロファージで炎症の鍵分子「NLRP3インフラマソーム」の活性化を阻害し、メタボリックシンドロームを改善させることを突き止めた。しかし、イソリクイリチゲニンが脂肪細胞にどう働きかけるかは分かっていなかった。
研究グループは過去の研究で、試験管内で脂肪細胞とマクロファージをともにに培養する実験を確立。また、糖尿病治療薬である「ピオグリタゾン」が脂肪細胞に作用し、炎症反応を抑制することを解明してきた。
今回の研究では、「イソリクイリチゲニン」がマクロファージから産生される炎症性サイトカイン「TNF-α」や、脂肪細胞から産生されるケモカイン「MCP-1」の発現を抑制することを確かめた。
サイトカインは免疫系の制御や炎症反応、細胞の恒常性を維持する働きをし、ケモカインは細胞の遊走を誘導するサイトカインで炎症時に誘導されるものなどがある。
内臓脂肪のマクロファージに作用し、線維化を抑制
研究チームは、イソリクイリチゲニンはTNF-αによる脂肪細胞の活性化を抑制するともに、飽和脂肪酸によるマクロファージの活性化も抑制することを明らかにした。
マウスを使った実験では、高脂肪食を与えたマウスでは、普通食を与えたマウスに比べて内臓脂肪の線維化が多くみられた。一方で、イソリクイリチゲニンを混ぜた高脂肪食を与えたマウスでは、高脂肪食による線維化が顕著に抑制した。
さらに、イソリクイリチゲニンはマクロファージに作用し、免疫細胞に発現する自然免疫センサーによる線維化に関連する遺伝子の発現を抑制することが判明。これにより、イソリクイリチゲニンは内臓脂肪のマクロファージに作用し、線維化を抑制することが示された。
「今後、抗炎症や抗線維化の作用の詳しいメカニズムを調べ、イソリクイリチゲニンをもとにしたメタボリックシンドローム治療薬の開発につなげたい」と、研究者は述べている。
研究は富山大学大学院医学薬学研究部(医学)免疫バイオ・創薬探索研究講座(富山県寄附講座)の渡邉康春客員助教、長井良憲客員准教授、高津聖志客員教授ら研究チームによるもの。科学誌「Scientific Reports」オンライン版に発表された。

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