ニュース
特定保健指導の効果 腹囲や血糖値の改善は5年間続く 医療費も減少
2016年05月11日
特定保健指導を受けた人は5年間、血糖や血圧、中性脂肪などの検査値の改善効果が続くことが、「電子レセプト情報・特定健診等情報データベース」(NDB)の解析で判明した。
厚生労働省の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」のワーキンググループは、「特定保健指導」による検査値への影響と医療費の適正化効果について経年的な分析を実施し、2015年度の分析結果を公表した。国が保有するサーバに特定健診などのレセプト情報を集約した「電子レセプト情報・特定健診等情報データベース」(NDB)を活用して全国的な調査で経年的な効果を検証した。
特定保健指導後の5年間に検査値の改善効果が継続
今回の調査は、2008年度から2013年度のデータを使用して、(1)検査値への影響及び医療費適正化効果の経年分析について、(2)保健指導レベルの推移、(3)2年連続で保健指導を行うことの効果について分析したもの。
特定保健指導の対象となった40歳から74歳の加入者のうち、2008年度に特定保健指導のメニューを6ヵ月後まで受けた人を「参加者」、2008年度から2013年度まで一度も特定保健指導を受けていない人を「不参加者」として、特定健診の検査値の推移を比較。364保険者の20万~22万人分のデータを活用して分析した。
その結果、「積極的支援」を受けた参加者は、不参加者と比較すると、おおむね全ての検査値において、特定保健指導後の5年間に検査値の改善効果が継続していることが確認された。特定保健指導は糖尿病、高血圧の予防の観点からも有効である可能性が示唆された。
「積極的支援」を受けた参加者は、2008年度と比べて2013年度では、腹囲は男性で1.47cm、女性で2.16cm、それぞれ減少した。同じく体重は男性で1.25kg、女性では1.63kg、それぞれ減少した。


特定保健指導の参加者は医療費が減少
また調査では、メタボリックシンドロームの人が併発しやすい高血圧症と脂質異常症、糖尿病に関連する入院外医療費などの推移も、参加者と不参加者とで比較した。参加者の方が医療費が低く抑えられることが明らかになった。
特定保健指導(積極的支援)の参加者と不参加者の1人当たり入院外保険診療費を比べたところ、参加者では2009年度は男性で5,830円、女性で7,870円少なかった。2013年度は男性で5,720円、女性で1,680円少なかった。

掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月12日
-
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より - 2025年02月10日
- 【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
- 2025年02月10日
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 2025年01月23日
- 高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
- 2025年01月14日
- 特定健診を受けた人は高血圧と糖尿病のリスクが低い 健診を受けることは予防対策として重要 29万人超を調査
- 2025年01月06日
-
【申込受付中】保健事業に関わる専門職・関係者必携
保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2025年版」 - 2024年12月24日
-
「2025年版保健指導ノート」刊行
~保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳です~ - 2024年12月17日
-
子宮頸がん検診で横浜市が自治体初の「HPV検査」導入
70歳以上の精密検査無料化など、来年1月からがん対策強化へ